デジタル化された教科書を教員にも配布可能に
 ここ数年来、視覚障害者や普通の印刷物を読むことが困難な人々のためにデジタル化された図書の国際標準規格として、50カ国以上の会員団体で構成するデイジーコンソーシアム(本部スイス)により開発と維持が行なわれている情報システム・デイジーシステムによる図書に注目が寄せられれています。
 デイジー(DAISY)とは、Digital Accessible Information SYstemの略で、日本では「アクセシブルな情報システム」と訳されています。
 このシステムを活用し、発達障がいなどで"読み"が困難な児童・生徒のためのデイジー教科書について文部科学省は5月13日、公明党の主張を受け、配布対象を児童・生徒本人のみに限定していた従来の方針を転換、指導する教員への配布も可能とする事務連絡を関係団体に通知しました。
 デイジー教科書は、通常の教科書の内容を、パソコンなどを活用して音声や文字で同時再生できるようにしたものです。ボランティア団体などが文科省から入手した教科書の電子データを基に製作し、(財)日本障害者リハビリテーション協会を通じてCD-ROMの形で配布されています。
 今回の事務連絡により、児童・生徒本人だけでなく、教員にも配布可能となることで、デイジー教科書普及に弾みがつくと期待されています。
 また、今回の事務連絡では、障がいの状況によって在籍学年よりも下のデイジー教科書が必要となる場合について、その配布を可能とする方針も示されました。
 デイジー教科書については、公明党の山本香苗参院議員が国会質問や質問主意書などで普及の必要性を主張。4月26日の参院行政監視委員会で、デイジー教科書の教員への配布などを認めない文科省の姿勢を追及し、文科省側に改善を約束させていました。
 デイジー教科書は、音声にテキストおよび画像をシンクロ(同期)させることができますのでユーザーは音声を聞きながらハイライトされたテキストを読み、同じ画面上で絵をみることもできます。
参考:マルチメディアDAISY版教科書について(日本障害者リハビリテーション協会)