「宮崎牛」種牛49頭、口蹄疫疑いで殺処分へ
読売新聞(2010/5/16)
 宮崎県の家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」問題で、県は16日未明、新たに同県川南町と高鍋町の計10農家・施設の牛と豚が感染した疑いがあると発表した。
 高鍋町の施設は県家畜改良事業団。県は13日から14日にかけて、移動制限区域内にある同事業団の種牛6頭を区域外の同県西都市に移したばかり。
 家畜伝染病予防法に基づく移動制限区域内では、家畜の移動が禁止されるが、県のブランド牛「宮崎牛」の生産に欠かせない優秀な種牛を保護するため、県の要請を受け、国が特例として6頭の移動を認めた。
 同事業団では種牛を55頭飼養していた。同事業団に残っていたこのほかの種牛49頭は、すべて殺処分の対象となった。移動させた種牛に今のところ、感染は確認されていない。
 県の発表によると、陽性と判明したのは、同事業団を含め9農家・施設の牛と1農家の豚。13日から14日にかけ症状が出たという。
 これで発生(疑い例も含む)は1市3町の101施設に拡大し、殺処分される牛と豚は計8万2411頭になった。
宮崎牛の種牛を一元管理している、家畜改良事業団に口蹄疫感染広まる
参考写真 東国原宮崎県知事のツイッターに、「大変なことになった。」とのツイートが掲載されたのは、5月15日23:06。ツイッター上には、この言葉をキッカケに不安のツイートが飛び交いました。
 時を同じくして、自民党江藤拓衆院議員のブログ(5月15日23:28更新)に、「昨日『明日が怖い』と書きましたが、理由がありました。昨日の夕方、宮崎の種牛を一元管理している、家畜改良事業団の職員から『疑わしい肥育牛が出ました』と連絡があったのです。検体の検査結果が届きました。残念ですが感染が確認されました。最悪のシナリオです。連絡をくれた職員は何度も『申し訳ありません、申し訳ありません』と繰り返しました(以下略)」との記事が掲載されました。
 この二つの発言をキッカケに、ツイッターでは、宮崎牛の種牛に関する危機的な状況を危惧する発言が溢れました。
 私は、東国原知事の発言に、「宮崎県のトップなんだから、あまり県民に不安を与えるような表現はいかがなものでしょうか」とのリツートを、さらに、「知事の回りの方も助言できないのか?知事のツイートをフォローしていないのか?」かと、県のスタッフも知事の発言をフォローすべきであると発言しました。
 日付が変わり16日午前1時半頃、農水省のホームページが更新され、「高鍋町の(社)宮崎県家畜改良事業団(308頭)で口蹄疫の疑似患畜を確認しました」との情報が確認されました。
 危機管理の情報発信をめぐる、この深夜のやり取りは、今後大きな検証課題となるものと考えます。
 しかし、ことの重要性、緊急性を考えると、そのような議論を行っている場合ではありません。
 民主党政権の初動の遅れは、最悪の事態を招いたようです。公明党は、現場で、国会で懸命に現場への全面的な支援を強く求めています。
 5月14日の衆院農水委員会での審議では、東順治副代表(公明党口蹄疫防疫対策本部長)が、口蹄疫感染の封じ込めと畜産農家支援に国を挙げて迅速に対応するよう強く訴えました。
 東議員は、口蹄疫に感染した疑いがある牛や豚が13日現在、県内86カ所で確認され、殺処分対象の家畜が約8万頭に上っている被害状況について「非常に危機意識を持っている」と強調。公明党が12日に平野博文官房長官に対し、1000億円規模の緊急対策予算確保を要請したことに触れ、「被害農家に希望の光をともす意味から、緊急予算を組む構えを示すべきだ」と改めて求める一方、共同声明などで今回の緊急事態に政府が一丸となって取り組む姿勢を表明するよう訴えました。
 これに対し、赤松広隆農水相は「官房長官と相談し、取り組みをさらに一層進める」と答弁するに止まりました。 一方、東氏は、被害農家に対する殺処分家畜の手当金支給が遅れていることから、政府の危機管理態勢を追及。申請手続きが自治体任せになり、支給金額の基準となる評価額の設定が進んでいない状況を政府側が説明したため、「迅速に対応せよ」と強調しました。
 また、畜産業への大打撃を未然に防ぐため、県家畜改良事業団(高鍋町)が飼育する"宮崎牛"の種雄牛の避難・移動を徹底するよう要請しましたが、既にこの時点で、感染の可能性を農水省は強く認識していたのかもしれません。
 いずれにせよ、対応が後手後手、情報もツイッターやブログの方が早い。危機管理能力の欠如が益々浮き彫りになる鳩山政権です。
(蛇足ではありますが、この記事は、東国原宮崎県知事のツイッターでの発言を誹謗中傷することが目的ではありません。宮崎県としての危機管理のあり方、情報提供のあり方を今後議論すべきであるとの問題提起であることをご理解ください)