子宮頸がん:女子中学生対象にワクチン無料接種
大子町、潮来市が方針/茨城

毎日新聞(2010/5/28)
 子宮頸(けい)がん予防のためのワクチンが昨年10月に日本で認可されたのを受け、大子町と潮来市は相次ぎ、女子中学生を対象に無料接種を実施する方針を発表した。無料接種は国や県に先駆けた措置で、今後ほかの県内自治体にも広がる可能性がある。
 大子町は24日、町内の女子中学生208人に9月からワクチン接種費用を全額助成すると明らかにした。町によると、6月議会に助成総額約1060万円を盛り込む補正予算案を提出するという。
 潮来市も26日、市内の女子中学生457人を対象に、無料接種を年内実施すると発表した。接種費用約2330万円は、9月定例議会までに予算措置を行う。松田千春市長は「ワクチン接種の受けやすい環境をつくっていきたい」と話した。
 子宮頸がんは、女性のがんとしては2番目に多く、国内では年間約1万5000人が発症し、約3500人が死亡。国内認可を受け、任意で接種できるようになったが、医療保険適用外で約5万円と高額なため普及が進んでいない。大子町は「ワクチン接種を通じ、がん予防への意識を高めてほしい」と、助成の効果を期待する。
 一方、県保健予防課は、子宮頸がんワクチン接種率の正確なデータはなく、費用対効果が未知数とみる。同課担当者は「効果も検証できず、税金を投入してまでワクチン接種を県民にお勧めできるかはまだ分からない」と助成に消極的だ。
 県内の子宮頸がん検診の受診率は20・7%(07年)で、全国平均の21・3%(同)を下回り、厚生労働省が目標とする50%にも及ばない。

参考写真 先日の大子町に続いて、潮来市が子宮頸がんワクチンへの公費助成の方針を発表しました。茨城県でも、子宮頸がんワクチン公費助成への良い意味でのドミノ現象が起こることを期待します。
 そのそも子宮頸がんワクチンの早期承認を巡っては、公明党の地方議員の活躍がありました。2007年9月、神奈川県平塚市議会公明党の鈴木晴男議員が、地元の医師から子宮頸がんワクチンの有効性を聞き、その早期承認を松あきら参院議員(現副代表)に相談。公明党女性委員会では、この問題を重要視し、浜四津敏子代表代行が10月に参院予算員会で取り上げ、舛添厚労相(当時)に早期承認を強く訴えました。
 時を同じくして女性党員らが北海道、東北、東京、九州などで署名活動を行ったほか、党女性委員会が政府への申し入れを重ね、早期承認に至った経緯があります。
 ワクチンの承認後、その普及、啓発という観点から、接種費用に対する公費助成が課題となっています。誰でも平等に接種できるよう、公明党は公費助成を政府や地方自治体に求めています。
 茨城県においては、公明党茨城県議会主催の「女性の健康フォーラム」を昨年4月から6月に掛けて、延べ9回開催しました。このフォーラムでは、県保健予防課と思春期保険協会和田里香医師の全面的な協力を戴き、子宮頸がんや乳がんの検診の普及やワクチンの利用促進を訴えました。
 なお、28日付の毎日新聞の後段では、「県保健予防課は、子宮頸がんワクチン接種率の正確なデータはなく、費用対効果が未知数とみる。同課担当者は『効果も検証できず、税金を投入してまでワクチン接種を県民にお勧めできるかはまだ分からない』と助成に消極的だ」と指摘していますが、若干誤解を生じさせる書き方なので、説明を加えておきたいと思います。
 井手よしひろ県議は、28日午後、県保健予防課長に取材の経過と県の基本的な姿勢を質しました。それによると、県は「子宮頸がんワクチンの効果は積極的に評価しており、今後のがん対策の柱となると期待している」、「6月には子宮頸がん予防ワクチンに関する研修会を開催予定で、県内市町村の担当者にその効用などを説明する予定である」と説明しました。
 県は、東京都や山梨県のようにワクチンを助成する市町村に対しての補助を行うことに対しては、慎重な姿勢を崩していません。しかし、市町村が助成することにブレーキを掛けようという意思はないことは確認いたしました。