参考写真 今年度で、茨城県の長期的な施策の基本となる現行の県総合計画である「元気いばらき戦略プラン」が終了します。すでに、県総合計画審議会によって、新たな県総合計画の基本理念や目標、将来像など、これまでの議論の内容をまとめた「中間とりまとめ」が決定され、現在、県民から意見を募っているところです。
 こうした県の総合計画は、単に計画が作られただけでは意味が無く、その実現に向かって具体的な数値目標が設定され、進捗管理がしっかりとされなくてはいけません。
 現行の県総合計画の進捗状況の評価法については、いくつかの問題点があると考えています。
 現行計画には8つの重点戦略ごとに、具体的な数値目標が設定され、その進捗状況が管理されています。現在、進捗状況ではB+以上の評価が対象項目の60.3%。達成見込みでは「ほぼ達成できる」と「もう少しの努力で達成できる」項目が52.8%で、全体的に県計画が順調に達成できているような印象を得ます。
 しかし、これは現実の県民の実感と乖離しているのでは、と思えてなりません。
 例えば、工場の立地面積は平成18年度から20年度まで、すべてA+評価で計画の目標を達成できるとしています。しかし、県民の思いは、県財政に重くのしかかる開発公社や県が保有する未処分の工業用地の印象からすると、とてもとてもA+評価だと誇れる内容でしょうか?
 また、本来は項目毎のウェイト付けも必要だと思えます。「ストップ少子化への挑戦」との項目で、保育所の待機児童数がC評価であり、目標達成見込みが一層の努力が必要と言うことでは、少子化戦略の大きな柱が未達成と言うことになります。「環境を守り・育てる300万人行動」に関しても、霞ヶ浦の水質(COD)の改善がC評価では、その戦略全体が及第点とはいえないのではないでしょうか。
 また、そもそも数値目標が不明確なものも数多く見られます。高齢者が活躍する健康長寿社会という戦略項目に「医師数」という項目がありますが、県政の課題としてはもっと強調されなくてはならない項目です。「介護施設の待機者数」などの目標は、設定さえされていません。
 現在検討中の新県計画では、計画の実効性を確保するために、具体的な数値目標をどのように設定するか、再検討が必要です。
県総合計画の重点戦略「進ちょく順調」と評価
茨城新聞(2010/08/30)
低評価、生活関連にも 2009年度
 県総合計画(2006〜10年度)重点戦略の09年度進ちょく状況で、県は29日までに、対象指標の約4割を5段階で目標値以上の「+A」、期待値以上の「A」と判定する評価結果をまとめた。県は「+B」以上が約7割を占めることから「進ちょくは順調」としているが、「B」「C」判定も14指標に上る。低評価には県民生活に密接な指標が含まれ、?生活大県?づくりを掲げた橋本県政にとって大きな課題だ。
 評価結果は、県総合計画の重点戦略と基本計画、地域計画の各計画ごとにまとめた。重点戦略8項目40施策の数値目標42指標の評価は▽「+A」12指標▽「A」4指標▽「+B」12指標▽「B」8指標▽「C」6指標だった。(以下省略)
参考:茨城県総合計画(平成18年度〜22年度)