参考写真 児童扶養手当は、離婚や死別などにより、1人で子どもを育てなければならなくなった親に支給される手当です。1962年から始まった国の制度で、仕事と育児を1人でこなしていくのは負担がかかるため、経済的に支援する仕組みです。
 住んでいる市町村に申請すると、一定の所得以下の親に月4万1720円〜9850円が支給されます。2人目の子どもには5000円、3人目以降は1人につき3000円が加算されます。
 手当を受け取れるのはこれまで、母子家庭や祖父母が子育てをするケースなどに限られていました。父子家庭が外れていたのは、「男性は正社員で働くことが多く、収入も多い」とみられたためです。しかし、この8月から父子家庭も支給対象に加えられました。
 その背景には、男性の間にも不安定な非正規雇用が広がっていることがあります。
 厚生労働省の2006年度の調査では、働いて得られる年収が300万円未満の父子家庭が37%にも達しています。(母子家庭は88%に上っています)
 厚労省のまとめでは09年に、母子家庭約120万世帯のうち約97万世帯に手当が支給されています。父子家庭は約20万世帯で、半数の10万世帯が支給対象になる見込みです。
児童扶養手当の今後の課題
参考写真 父子家庭に支給が始まった児童扶養手当にも、いくつかの課題があります。
 その第1は、2002年の法改正で、受給期間が5年を超えれば手当が半減されるようになってしまったことです。離婚の増加で手当の受給者が増加し、就業を促すとともに財政支出を減らすための措置でした。公明党の強い働きかけで、働いても収入が少なかったり、病気や障害などで働けないことを証明したりすれば、減額されないようになりましたが、減額制度の見直しは是非必要です。
 第2は、所得制限が母子家庭と同じということです。
 離婚等でやむなく父子家庭となった父子は、多くの場合、親元に戻ってお父さんが働きに行って、子どもを父の親である祖父や祖母が看ておられるケースが多くあります。このような場合は、同一生計世帯の合算収入で計算されるので、児童扶養手当受給対象外となる場合が多くなっています。
 第3には、所得制限が母・子一人の場合、230万円未満です。この所得制限が父子家庭にも適用されます。会社勤めのお父さんはまず230万円未満はほとんどおられないのではないか?
 第4には、障害年金(年金生活をしている祖父母の場合も含む)を受給している方は、児童扶養手当を受給できないということです。障害年金だけで生活している人の年間所得は、児童扶養手当の受給基準を充分に満たしているはずです。年金を受給しているかどうかで判断するのではなくて、受給される方の年収で支給の可否を判断する制度に改める必要があります。