民主党政権が正式発足した昨年9月16日から1年を迎えようとしています。しかし、党代表選に伴う権力闘争で政治空白を生み、国民からは「どうなってんだ! 民主党政権」という批判が巻き起こっています。この一年間の民主党政権の無策ぶりには呆れるものがありますが、その中でも、「年金」にまつわる問題は、その中でも突出しています。
具体論欠く改革案
与党になっても数字出せず

参考写真 民主党は野党時代、公明党などが進めた2004年の年金制度改革を批判する一方、“野党だから数字は示せない”などと制度設計の具体化から逃げていました。政権交代から1年を経た今も、財源など詳細な数字が入った年金改革の具体案は示していません。 
 政府の検討会(議長=菅直人首相)は6月末、新制度の「基本原則」を発表しましたが、昨年の衆院選マニフェストで明記していた最低保障年金「月額7万円」が削除された上、財源や保険料率など具体的な数字は示されませんでした。参院選を前に「改革に積極的に取り組む姿勢を有権者に示す」(6月30日付「産経」)ための“ポーズ”に過ぎなかったとの批判がでています。
 このように「基本原則」が「あまりに具体論を欠いている」(7月1日付「読売」)ため、政権内からも「民主党は政権についた途端に曖昧になったとの批判を受けるのでは」と危ぐする声さえ上がりました。
“年金破たん論”は破たん
国民不安あおった責任は重大

 野党時代の民主党は年金制度について、「政府案(現行の制度)をこのまま押し切ったら、間違いなく破たんして、5年以内にまた変えなければならない」(2004年4月、枝野幸男政調会長)などと“年金破たん論”を声高に叫んでいましたが、当時から約6年たった今も年金は滞ることなく支払われ、年金制度は破たんしていなせん。
 それどころか、民主党政権の長妻昭厚生労働相は昨年11月、「私は年金は破たんするとは一言も言っていない。年金は破たんしない」と明言しています。民主党の“年金破たん論”が破たんしている事実が、まさに当事者によって裏付けられた形です。
 当時の政府・与党の「改革案を批判し、確信犯的に『これでは破綻する』などと国民の不安を増幅させて、年金記録問題の追及等とともに選挙戦勝利につなげてきた」(「週刊東洋経済」09年10月31日号)と指摘されるように、民主党は年金を“政争の具”としてきたわけです。その責任は重大です。
遅々と進まぬ記録問題
「2年で全件照合」を断念

 「そんなもの全部1年、2年でやってくださいよ、人、モノ、カネを集中投下して。何で、集中的にやってしまわないんですか!どう考えても理解できない!」。民主党政権の長妻厚労相は野党時代、国会質問で年金記録の全件照合をめぐって、こうまくし立てていました。
 しかし、政権交代して厚労相に就任した途端、「全件4年以内に照合していく。初めの2年間、集中的に照合する」と述べ、野党時代の発言からは大きく後退する国会答弁を繰り返しています。
 しかも、「全件4年以内に照合」という約束すら、マスコミから「事実上不可能な情勢」(09年12月13日付「読売」)と指摘されています。
 なぜなら、厚労相は10、11年度で全体の7割の照合を集中的に行おうと、10年度予算の概算要求で1779億円を計上したが、実際に確保できた予算は、その半額程度。当初の目算は既に崩れてしまっているのです。
保険料使途で公約違反
年金給付以外にも流用

 民主党は野党時代、年金保険料を年金給付以外の事業費(事務費など)に充てることを厳しく批判し、07年11月には「年金保険料流用禁止法案」を参院で可決させました(衆院で廃案)。当時、民主党「次の内閣」ネクスト年金担当相だった長妻厚労相は、国会質問で「年金保険料を年金支給以外には使わないという大原則を打ち立てることが重要」と強調していました。
 ところが、政権交代後、長妻厚労相は、自ら編成に参画した10年度予算で、その「大原則」をねじ曲げ、2046億円もの保険料を年金給付以外の事業費に流用させたのているのです。
 これは、民主党が09年の衆院選マニフェストで掲げた「年金保険料は年金給付だけに充当する」との公約にも、明らかに違反しています。そのためか、今夏の参院選マニフェストでは関連記述を書き換え、「年金保険料の流用はさせません」と、あいまいな表現に後退させてしまいました。
 野党時代“ミスター年金”ともてはやされた長妻厚労相。いまやその実行力に大きな疑問符がつき“ミスター検討中”と国民からは揶揄されています。