自治医科大学附属さいたま医療センターの今野良教授 9月14日、自治医科大学附属さいたま医療センターの今野良教授が、自民、公明両党の「子宮頸がん予防ワクチンに関するプロジェクトチーム」で行った講演(要旨)を、公明新聞(2010/9/21付け)の記事から紹介します。
 今野教授は、子宮頸がんは「精度の高い検診」と、「ワクチン」とによって、根絶が期待できるとして、国が国家戦力として対応する必要性を強調しました。その上で、来年度予算の概算要求で、ワクチン助成に150億円を計上したことを評価し、「例えば、中学1年生だけを対象に接種率100%をめざしてはどうだろうか。仮に接種率80%だとしても、メーカーに30%値下げしてもらった計算では、厚労省が提示する150億円とほぼ同額だ。これなら日本全国で、10、20年後に、がんは確実に減少する」と、野心的な提案を行いました。
子宮頸がん予防は国家戦略
自治医科大学附属さいたま医療センター今野良教授の講演から
公明新聞(2010/9/21)
 日本もぜひ長期的な視野で政策を決定し、国の方針としてしっかり子宮頸がん対策をやってもらいたい。
 子宮頸がん予防は現在、世界的に見て、非常に大きな国家戦略であり、政治の決断が必要な事柄だ。
 子宮頸がんは、予防法を獲得した唯一のがんであり、細胞診とHPV(ヒトパピローマウイルス)検査を併用する「精度の高い検診」と、「ワクチン」の両者によって、根絶が期待できるからだ。
 ところが、日本の子宮頸がん検診の受診率は現在20%台にとどまっている。この原因は、検診事業を行っている自治体のほとんどは、予算要求額が対象住民の20%に満たないためだ。これでは、住民に十分な働き掛けができない。
 質の高い検診を導入して、検診間隔を延ばせば、医療従事者の負担も減り、経費も安く抑えられるだろう。
 一方、ワクチンについては、12歳の女児全員に接種すると、子宮頸がんの発生を将来的に73%減らすことができる。費用は210億円必要だが、医療費や労働損失を減らすことができるため(400億円の効果があり)、社会全体で190億円の損失を減らすことができる。
 ところが、接種率30%だと子宮頸がんは20%しか減らない。接種率5%だとワクチンを打たなくても同じだ。いかに接種率を上げるかが大事になる。
 そこで、日本の先進的自治体を見ると、栃木県大田原市は全額補助で学校での接種を実施し、接種率は98.8%となった。新潟県魚沼市や埼玉県志木市は、医療機関での接種を全額公費負担にし、わずか3カ月間で接種率は70%近くにアップしている。新潟県湯沢町も、保健センターで2日間限定の接種にもかかわらず91.8%が受けた。自治体が、ワクチン(接種)を啓発すれば、住民は安心して受けるということだ。全額補助と適切な情報提供がポイントだ。
 先日、厚生労働省は、来年度予算の概算要求で、このワクチン助成に150億円を計上した。これは大きな前進だ。
 しかし、その積算根拠の内容に問題がある。理由は接種率を45%と低く想定していることだ。さらに、自治体の補助事業がある場合に、国が3分の1を補助するという内容も問題だ。これだと、自治体に補助事業がない場合、お金が入らないので、新たな地域格差を生む。
 そこで、例えば、中学1年生だけを対象に接種率100%をめざしてはどうだろうか。仮に接種率80%だとしても、メーカーに30%値下げしてもらった計算では、厚労省が提示する150億円とほぼ同額だ。これなら日本全国で、10、20年後に、がんは確実に減少する。
 日本もぜひ長期的な視野で政策を決定し、国の方針としてしっかり子宮頸がん対策をやってもらいたい。