特別会計仕分け初日、「ジョブカード」廃止
読売新聞(2010/10/27)
 事業仕分け第3弾1日目を終え、報道陣の質問に答える蓮舫行政刷新担当大臣=武藤要撮影 政府の行政刷新会議(議長・菅首相)は27日、東京・東池袋のサンシャインシティ文化会館で、特別会計(特会)を対象とする事業仕分け第3弾(前半日程)を開始した。
 初日の作業では、民間企業の輸出代金などの損失を補填(ほてん)する貿易再保険特会を廃止と判定したほか、労働保険料を原資とする労働保険特会で行う「ジョブカード制度」関連など5事業を廃止とした。
 ジョブカード制度は、企業で職業訓練を受けたフリーターらが独自の履歴書をまとめて就職活動に活用するものだ。仕分け人からはカードの有効性を疑問視する意見が相次ぎ、廃止して別の仕組みを設けるよう求めた。政府は6月に閣議決定した新成長戦略で同制度登録者を2020年までに現在の約25万人から300万人に増やす目標を掲げており、閣議決定と矛盾する判定をした。

 10月26日、公明党の山口那津男代表は党中央委員会で、政府の行政刷新会議による「事業仕分け」で、フリーターなどの雇用安定を図るため公明党が強く推進してきた「ジョブ・カード制度」を「廃止」と判定したことについて、「新しい制度をつくり、そこに吸収させるというが、新制度の具体像は何も示されていない」と述べ、場当たり的な対応を厳しく批判しました。
参考写真 山口代表は政府が6月に示した「新成長戦略」で、2020年までに同カード取得者を300万人にするとしていたことに触れ、「わずか4カ月間で、その方針が『廃止』に変わってしまうことは、新成長戦略の実現性と整合性に疑念が持たれる」と指摘。「今の政権のちぐはぐな対応には危惧を覚えざるを得ない」と批判し、ジュブ・カード制度は「新成長戦略に基づいて強く推進すべきものだ」と主張しました。
 また、「事業仕分け」の在り方を見直す必要性を強調し、「きちんとした制度の位置付けや、政府の諸施策との整合性をもって、恒久的に実施する仕組みをつくるべきだ。一時のパフォーマンスで終わらせるべきでない」との考えを示しました。
 「ジョブ・カード制度」とは、フリーターや母子家庭の母親らに、企業実習と座学を組み合わせた職業訓練の機会を提供した上で、訓練後に実習を受けた企業からの評価や職務経歴、取得資格などの情報を記した「ジョブ・カード」を交付し、職業能力の向上を公的に証明することで就職活動に役立ててもらう制度です。公明党の推進で2008年4月にスタートしました。
 政府の行政刷新会議による「事業仕分け」では、「同様の政策目的を持った類似事業との整理統合を図り、OJT(職場内訓練)による能力開発という本来の政策目的を実現できる、新たな別の枠組みを設ける」として「事業廃止」と判定したが、その「別の枠組み」について具体的内容は示されていません。
参考:事業仕分け第3弾<労働保険特別会計>
参考:新成長戦略2010<「元気な日本」復活のシナリオ>