参考写真 12月19日、遷延性意識障害に陥った方の家族から相談を受けました。アラフォーの青年実業家として活躍したこの男性は、今年の夏、出先で事故に遭遇。医師の診断は、「急性硬膜下血腫、脳挫傷」。自発呼吸は出来るが、意識が回復せず、胃ろうによる栄養摂取を行っています。
 現在入院している病院からは転院を勧められているとのこと、障害者認定や今後のリハビリ、重い医療費負担など様々な不安が告げられました。
 事故などによる脳損傷で重い意識障害が遷延=長引いている状態を「遷延性意識障害」と呼んでいます。日本脳神経外科学会が1976年に、「1.自力移動が不可能である。2.自力摂食が不可能である。3.糞・尿失禁がある。4.声を出しても意味のある発語が全く不可能である。5.簡単な命令には辛うじて応じることも出来るが、ほとんど意思疎通は不可能である。6.眼球は動いていても認識することは出来ない。以上6項目が、治療にもかかわらず3ヶ月以上続いた場合を『植物状態』とみなす」と定義しました。かつては「植物人間」ともいわれた時期がありましたが、現在は患者さんの人権も考慮して「遷延性意識障害」と呼称しています。
 遷延性意識障害は、回復の可能性が非常に低い障害でありながら、いわゆる“難病”(特定疾患治療研究事業)と違って、医療費の公的な負担軽減策が全くありません。「宮城県方式」や「長野県方式」のように、県が遷延性意識障害を“難病”と同じく指定して全額補助している地域もありますが、茨城県では、このような施策は行われていません。
 茨城県の遷延性意識障害の家族会「希望の会」のホームページには、「入院3ヶ月を過ぎて転院=検査=転院を繰り返し、やむなく在宅介護になっても、近くにリハビリ病院も訪問リハビリが受けられずその結果、硬直や機能低下が進みます。運よくリハビリが出来ても180日以内の日数制限があり、回復の機会が閉ざされてしまいます。1日24時間、1年365日休むまもなく介護する家族が病気で入院したり、介護する者亡き後はいったい誰が面倒を看てくれるのか?」との、患者・家族の厳しい状況が紹介されています。
 今日の市民相談を契機に、転院を受け入れる病院の紹介、円滑な障害者認定、障害年金の受給などを支援することにします。