1月12日、公明党は「公明党のめざす地方議会改革への提言―地域主権の確立のために」を発表しました。この提言は、党の地方議員の代表らからなる地方議会改革プロジェクトチーム(座長=中島義雄都議)による中間取りまとめ案を踏まえ、決定されたものです。
 提言では、「住民が自らの意思と責任で、地域のことを決定することが、新しい地方自治のあり方」と強調。現在の地方議会の問題点として、首長の提案を追認しがちな「総与党化」や、一部の自治体での首長と議会の対立、住民との直接対話・住民参加の不足を指摘し、「地方議会自らが改革に取り組む強い覚悟と行動が必要」と訴えています。その上で、住民の目線に立ち、「住民自治」を強化する観点から、公明党がめざす改革の具体策がまとめられています。
 具体的には、(1)「議会基本条例」の制定推進(2)議会権能の強化(3)「見える化」の推進(4)住民参加を推進(5)議員定数・議員報酬等の適正化―などを主張する内容です。
 「議会基本条例」の制定では、議会の本来の役割である、執行機関に対する議会の監視機能や、議会の政策立案機能などの発揮を進めるとともに、議会と首長が対立した場合の政策決定プロセスのルール化などをめざします。また、各議会での「議会改革委員会」(仮称)の設置や、地方議員の法的位置付けの明確化も検討課題としています。
 議会権能の強化では、議会の招集権を議長にも与え、原則として(可能な自治体から)通年議会とすることで審議の充実を図るほか、スタッフの確保など議会サポート体制の拡充に取り組みます。
 議会活動の「見える化」については、本会議や委員会などの公開・傍聴制度の充実を図るほか、インターネットによる議会中継などの情報公開を進めることを提案しています。
 住民参加では、「出前議会」や「議会報告会」の実施で、自治体の課題や議案の争点を住民に提示し、声を聞く機会を持つとともに、地域別・テーマ別の「市民委員会」「住民会議」(仮称)を行い、住民が議論に参加できる場づくりを推進します。
 議員定数については、行政の監視と、住民の声を議会に届けるという議会本来の役割を十分考慮した上で、行政改革の観点や住民の判断などを踏まえ、削減に努めるとしています。
 議員報酬については、都道府県や政令指定都市など比較的高い水準にある議会については、引き下げを含め適正化を図る方針を明示。その上で、各議会ごとに状況が大きく異なることから、一律の方針を適用するのではなく、例えば「公務員側の一定の役職に準拠」するなど、客観的な基準を設けることを提案しています。
 茨城県議会では、1月18日に臨時会が招集され、改選後初の議長・副議長が選出される運びとなっています。井手よしひろ県議など公明党議員会では、この提言をもとに、茨城県議会の改革を議会各会派に呼びかけて行く予定です。

公明党のめざす地方議会改革への提言
地域主権の確立のために
 住民が自らの意思と責任で、地域のことを決定することが、新しい地方自治のあり方です。こうしたあり方を「地域主権」として掲げ、その確立のために公明党は、さまざまな取り組みに挑戦します。
 現在、地方議会についてさまざまな問題点が指摘されています。
・「総与党化」し執行機関に対する監視が不十分。議決権の行使も首長の提案を追認する傾向がある。
・一部の自治体においては、首長と議会の対立が先鋭化。議員定数や議員報酬の削減などをめぐり紛糾。
・多様な層の幅広い住民の意見を十分に反映できていない。住民との直接対話、住民参加が不十分。
 こうした指摘に応えて、二元代表制における議会の役割を明確にし、その機能を発揮していかなければなりません。名古屋市はじめ各地で見られる首長と議会の対立の背景には、議会や議員に対する住民の不信感が存在します。
 住民の信頼を得るためには、議会運営のあり方はもちろん、議員定数や議員報酬の問題等、地方議会自らが改革に取り組む強い覚悟と行動が必要です。
 公明党は、住民の立場に立ち、『住民自治』を強化する観点から、「地方議会改革」をリードする役割を果たし、さらに、議員力アップに努めてまいります。
(1)「議会基本条例」の制定を推進
 二元代表制にふさわしく地方議会と首長の関係がチェック・アンド・バランスを堅持し、議会が執行機関の監視機能、政策立案機能等を発揮できるよう、「議会基本条例」の制定を推進します。
 政策に関して、議会と首長との意見が対立した場合、第三者機関による調停や住民投票の実施など、新たな政策決定プロセスのルール化をめざします。
 各議会に、「議会改革委員会」(仮称)を設置して、自ら議会改革に取り組みます。
 また、「公選職」である地方議員の役割・責務などを踏まえて、地方議員の法的な位置付けを明確にするよう検討します。
(2)議会権能の強化
 議会の権能を強化するために、議会の招集権を議長にも与えます。原則として(可能な自治体から)、通年議会とし、(首長による)専決処分を抑制、議決事件を拡大します。公会計制度を改革し、財務諸表の作成・公表を図るとともに、決算委員会を常設して監視機能を高めます。
 議会事務局における法務・調査スタッフの確保など議会サポート体制を拡充するとともに、専門職としての議会事務職の採用など人事、議会事務局の予算編成を議会の権限とします。
(3)「見える化」の推進
 本会議・委員会等の公開・傍聴制度の充実、インターネットによる議会中継や動画配信・議案情報の提供、議会報告会の実施、広報誌・ホームページの充実、議長の定例記者会見など、議会の情報公開を進めます。
(4)住民参加を推進
 「出前議会」や「議会報告会」を実施し、住民の声を聞く機会を確保します。議員が自治体の課題や議案の争点を住民に分かりやすく提示し、関連する情報を提供するなど、住民の関心を高めるよう努めます。
 公聴会・参考人制度を活用するとともに、議会として、地域別・テーマ別の「市民委員会」「住民会議」(仮称)を行うなど住民が議論に参加できる場づくりを推進します。
(5)議員定数・議員報酬等の適正化
 議員定数については、行政改革の観点や住民の判断等を踏まえて削減に努力します。なお、削減に当たっては、住民の多様なニーズや意見を的確に反映させる住民代表機能や、増大する行政への監視機能という議会が持つ役割も十分考慮すべきです。
 議員報酬については、例えば都道府県や政令指定都市などで比較的高い水準にある議会については、引き下げを含め適正化を図ります。議員報酬の水準については、議会によって大きく状況は異なり、一律の方針は適用できませんが、例えば公務員側の一定の役職に準拠するなど、客観的な基準を設けることが考えられます。
 なお、議員定数や議員報酬のあり方については、住民や有識者など協議機関を設置するなど幅広い意見を聞くことが重要です。
 政務調査費と費用弁償は活動経費であり、その性格を明確にし、実費弁償とすべきであり、透明性を確保します。