参考写真 2月21日、平成23年度の県当初予算案が県議会議員に内示されました。
 一般会計の予算規模で1兆401億円余りで、対前年度当初予算に比べ3.3%の減となっています。昨年度は県住宅供給公社対策費が計上されていましたが、公社の解散により、公社対策関連予算が約300億円減額となったことが、昨年より減額された大きな要因です。これを除くと、ほとんど前年度と同規模予算となっています。
 歳入については、税収が約100億円程度、今年度当初予算を上回っています。また、地方消費税清算金と地方法人特別譲与税を含めた実質的な県税ベースでは約200億円程度、今年度当初予算を上回るものと見込んでいます。参考写真また、地方財政計画により、地方交付税については、対前年度比150億円ほどの減と予測されています。このようなことから、実質的な県税で約200億円の増、実質的な地方交付税で約150億円の減ということになり、一般財源総額は、平成22年度当初予算と比べ50億円程度の増となっています。
 一方、社会保障関係経費など、当然増経費が目白押しで、財源不足が約60億円見込まれる状況になっています。この額については、県債管理基金からの緊急的な繰替運用をすることになります。
 来年度は、新たな県総合計画のスタートの年でもあり、理科教育、英語教育の充実など科学技術の発展や国際社会で活躍できる人材の育成など、“教育”については力を入れて予算編成となりました。
 また、医療・福祉の分野におきましては、医師確保対策や救急医療体制の整備など地域医療の充実、あるいは男女の出会いの場づくりや保育料の助成など社会全体で取り組む子育て支援などに力点を置いています。
 さらには、防犯パトロールの強化など安全・安心な地域づくり、中性子利用の研究拠点整備など競争力のある産業の育成、観光客の誘客促進や茨城空港の利活用など広域的な観光・交流の推進といった施策を着実に進めていくとしています。
 総じて、生活大県づくりに向けての予算編成を行いました。
 また、県政の最重要課題の一つであります経済・雇用対策については、正規雇用化を推進するため、研修・雇用一体型事業の拡充を図るなど、事業規模で123億円、雇用創出人数で6,500人以上となる雇用対策事業を展開します。中小企業の資金繰り支援や投資的経費の確保にも努めました。
 投資的経費のうち、公共事業費につきましては、国補、県単合わせて1,018億円を確保しました。1月補正予算において公共事業費139億円を計上していますので、来年度の実質的な執行規模は1,157億円となります。平成22年度当初予算時の執行規模と比較して0.8%の伸びとなります。
 県が保有する土地に係る実質的な将来負担見込額1,890億円については、平成23年度、対策額として110億円を計上しました。
参考:平成23年度茨城県当初予算関係資料
県予算案、雇用創出、最多の6500人
茨城新聞(2011/2/22)
時限基金フル活用 教育、福祉手厚く
 県は21日、一般会計を1兆401億1100万円とする2011年度当初予算案を発表した。前年度比3.3%減で2年連続マイナス。破産手続き中の県住宅供給公社対策費を除いた比較では0.5%減で、前年度と実質ほぼ同規模となる。11年度から新県総合計画が始まるのを受け、教育や福祉など「生活大県」づくりの事業に積極的に取り組み、6500人以上の雇用創出や投資的経費の確保など、県内景気を着実な回復軌道に乗せるため経済・雇用対策に引き続き重点配分した。国の臨時交付金を原資に時限措置で創設した各種基金が11年度に期限を迎えることから、約100億円増の計365億円を取り崩し、子育て支援や医療・介護、雇用対策などの財源に充てた。
 予算案について、橋本昌知事は記者会見で「緊急経済・雇用対策はもちろん、生活大県に向け最初の第一歩を踏み出せた。満足とはいかないが、ベストを尽くした」と評した。
 「生活大県」を旗印に2年目の当初予算案は、新総合計画の60の重点施策に積極配分した。特に、子育て支援や医療・介護、弱者対策は、健やかこども基金や介護基盤・処遇改善等臨時特例基金など73億円増の計242億円を活用し、新規施策を立ち上げた。
 ひきこもり地域支援センター(仮称)を県精神保健福祉センターに創設し、6保健所に相談窓口を整備。民主政権が打ち出した「新しい公共」を担うNPO支援に6600万円を計上した。
 医師確保総合対策に11億円を充て、救急搬送の時間短縮を目指し救急医療情報システムの更新に1億5000万円を計上した。
 教育は、橋本知事の肝いりで小学校の理科教育と小中高校の英語教育を充実させた。小学1〜4年と中学1年の少人数学級学も拡充した。
 雇用対策は、過去最多6500人以上の雇用創出を目指し、事業規模で32億円増の123億円を計上。財源の雇用創出等基金をほぼ使い切り、独自の「研修・雇用一体型事業」を中心にあらん限りの策を打った。国の緊急保証制度の本年度廃止を受け、中小企業の資金繰り支援としてセーフティーネット新規融資枠を476億円増の526億円とした。
 公共事業(特別会計含む)は8.5%減だが、10年度1月補正予算と合わせた執行規模は0.8%増の1157億円。福祉施設の整備など非公共事業は19.6%増の293億円を計上し、景気浮揚に向け投資的経費を確保した。
 一方、約1500ヘクタールを抱える保有土地対策に一般財源110億円を拠出した。住宅供給公社は破産手続きに入ったが、”負の遺産”処理に毎年100億円規模の出費が今後も20年近く続く。
 特別会計は流域下水道事業が企業会計に移行したのに伴い23.1%減の2072億5700万円、企業会計は10.9%増の1099億6800万円。
 予算関連議案は28日開会の第1回定例県議会に提案される。