衆議院では、「平成23年度子ども手当法案」の国会審議が始まりました。公明党は国会論戦を通じ、子ども手当て法案の問題点を厳しく追及しています。このブログでは、2月24日の衆議院本会議における古屋範子議員の質問のポイントを公明新聞の記事をもとに紹介します。
恒久法でなく場当たり。現金支給偏重でバランスが悪い
 平成23年度子ども手当て法案の問題点の第一は「マニフェスト(政権公約)違反」ということです。
 民主党マニフェストでは、11年度以降は中学校までのすべての子どもに月額2万6000円を全額国庫で支給するとしていますが、この公約が守られていません。
 また、この法案には、公明党が10年度の子ども手当法案を修正し、盛り込んだ「11年度以降の子育て支援にかかる全般的な施策の拡充」も反映されていません。
 ここで言う「11年度以降」とは、恒久的制度にすることを指していますが、今回も前年度と同様、1年限りの場当たり的な法案です。
 さらに、子育て支援の全般的な施策の拡充についても、現金給付に偏重し、「保育サービスなどの現物給付は十分な拡充がなされているとは言えず、バランスが非常に悪い」内容になっています。
 古屋議員は、こうした問題点を指摘し、「安心して子どもを産み育てられる環境をつくるには、恒久的な子ども手当の制度設計を含めた子育て支援の全体像を示すことが求められている」と主張しました。
地方負担押し付け。ムダ削減での財源確保に失敗
 古屋質問は、子ども手当の財源に関する問題も浮き彫りにしました。その一つが地方負担の問題です。
 民主党は「全額国費」を公約していましたが、11年度も地方負担が存続するため、多くの地方自治体が反発しています。この混乱は政府・与党が「地方への丁寧な説明と理解もないまま、一方的に負担存続を決めた」ことが原因です。
 また、財源について民主党は、マニフェストで掲げた配偶者控除の廃止を先送りし、突如として成年扶養控除や給与所得控除の見直しでねん出することを決めるなど迷走しました。
 財源の裏付けがないにもかかわらず、支給増にこだわる民主党の姿勢について古屋さんは「マニフェストで約束したムダ遣いの一掃による財源ねん出が極めて不十分なまま、かつ赤字国債を発行したまま、子ども手当を支給していることは、将来世代にツケを回すことにつながらないか」と疑問を呈しました。
支給額の根拠あいまい。増税先行、制度設計ミス
 子ども手当の制度設計があいまいである実態も明らかになりました。
 当初の民主党の公約は月額1万6000円でした。その後、2007年マニフェストで突如、月額2万6000円に増額されましたが、積算根拠がはっきりしません。
 そればかりか、菅直人首相は24日の衆院本会議での答弁で、小沢一郎代表当時に月額2万6000円を公約に掲げたことに「ちょっとびっくりした」と“白状”していることからも、確たる根拠がないことは明白です。
 また、11年度から3歳未満のみ支給額を7000円引き上げる理由を政府は、年少扶養控除の廃止で3歳未満の子どもを持つ世帯で負担増となることを挙げています。
 この点について古屋さんは「支給額の見通しも立たないまま増税を先行したために起きた制度設計ミスではないか」と糾弾しました。