3月8日、政府は専業主婦の国民年金切り替え忘れ問題に関して、国民年金法を改正して、救済策を行う新たな方針を決定しました。昨年12月に課長通達による救済策は、廃止されることになりました。(この廃止された救済策は“運用3号”と通称されています)
 新たな救済策は、(1)過去に未納だった全期間の保険料の追加納付を認める、(2)未納期間は年金加入期間に算入するが、年金給付額には反映させない「カラ期間」とする、(3)この救済策は3年間の期限付き措置とする、ことなどが柱となっています。
 政府は、こうした主旨を盛り込んだ国民年金法改正案を今国会に提出し、成立させたい意向です。
 サラリーマンや公務員の配偶者で、アルバイトなどの所得が一定以下の人は、国民年金の第3号被保険者として、自らが年金の保険料を収めなくても、配偶者が厚生年金や共済年金を納付していれば、65歳から基礎年金の給付を受けることができます。
 しかし、こうした第3号被保険者の配偶者が厚生年金や共済年金の対象から外れた際は、自らが申請をして国民年金に入りなおさなくてはなりません。そうして、国民年金の保険料を支払なないと、年金未納となり、25年の納付期間に満たなかったり、満額の支給が受けられなくなってしまいます。
 こうした年金の切り替えが不備であったため、将来的に基礎年金がもらえなくなったり、減額される人が100万人を超えて発生することが懸念されています。
 厚労省は、国のPR不足などの反省すべき点が多いとの理由で、「国民年金の第3号被保険者だった人のうち、配偶者の転職などで3号でなくなったのに切り替え手続きを忘れていた人たち」に対して、「2年間の保険料を収めれば、未納がなったものとして、基礎年金を満額支給する」という救済策を、昨年12月に発表しました。
 しかし、この救済策には大きな欠点があります。真面目に国民年金の保険料を支払ってきた被保険者との間に大きな不平等が生じます。例えば、10年間未納だった人でも、2年分約33万円を支払えば、基礎年金が満額支給されます。一方、真面目に毎月保険料を支払った人の負担は166万円となり、5倍以上の差が出てしまいます。
 この救済策の決定には、前厚労大臣の長妻昭氏が深く関わっていました。前厚労相時代の2010年初めから切り替え忘れのため無年金・低年金になる人が多数いることが調査で判明し、対応策が検討されてきました。この結果が、年金回復委員会に3月に提示されましたが、その後は具体的な議論もなく、長妻前大臣は9月に退任しました。その際も、長妻前大臣から現細川律夫大臣には、この問題について具体的な引継ぎは全くなかったと、3月8日の衆院厚生労働委員会で、細川大臣は答弁しています。現職の大臣にも報告されていなかった救済策は、昨年12月14日の年金回復委員会で了承され、年金課長名の通達で日本年金機構に、救済策の実行が指示されました。
 多額の予算措置が必要な救済策が、国会での議論もなしに、換言すれば法改正なしに実行されるということは、前代未聞の不祥事です。
 3月8日の参院予算委員会では、菅直人総理大臣も、年金切り替え忘れ問題の救済策が課長通達で実施されていたことについて、「重要な問題を課長段階で決裁したことについては問題があった」と、その非を認めています。
 この問題について、専業主婦の年金未納問題を長年放置した自民・公明党にも責任があるとの批判が一部マスコミにあります。しかし、これは全く的外れの批判です。
 公明党のリードで、年金保険料の事後納付の期間を2年から10年に延長する「年金確保支援法案」が国会に提出され、継続審議となっています。
 あわせて公明党は、年金受給者を拡大する策として、受給資格期間を現行25年から10年に短縮することもマニフェストで提案しています。
 こうした建設的な提案の抹殺してきた民主党政権にこそ、今回の問題の責任があることは明らかです。
参考:運用3号問題では、年金回復委員会で社労士廣瀬幸一氏が唯一、長妻前大臣が進めた救済策に反対をしました。その論旨が非常に分かりやすいので、以下紹介します。「運用3号に物申す!」