“忘れられた被災地”復旧急げ
 公明党の山口那津男代表は3月22日の記者会見で、茨城、千葉両県の被災調査(19日)や、北海道の漁業者からの聞き取り調査(21日)を踏まえ、大要次のような見解を示しました。
 先週末から被災地の調査などを行ってきました。まず赴いたのは、茨城県鹿嶋市と神栖市の南部地域と、その隣接地域の千葉県銚子市、旭市。相当な被害があったところです。
 鹿嶋、神栖では、津波が港を襲ったことで、流出したコンテナが住宅や電柱、道路その他に大きな被害を与え、それが散乱して放置されたまま。埋め立て地では液状化現象の被害がひどく、住宅や施設が傾いて使いものにならない状況が広範に渡っています。上下水道などライフラインの復旧にも手間取り、非常に厳しい実情でした。
 旭市の飯岡漁港は190隻の漁船登録のうち、50隻近くが堤防に打ち上げられてひっくり返ったり、漁港内で沈んでしまったりという大きな被害。
 さらに、自動車が漁港内に沈んだままサルベージ(引き揚げ)できない。漁網が絡みついて港のあちこちに放置されているという実情です。
 あまり報道されていない、いわば“忘れられた被災地”ともいうべき所にも深刻な被害が及んでいます。この被害の調査、復旧を政府として早く自治体と協力しながら検討してもらいたい。
 北海道では漁業者や知事から話を伺い、漁船や漁港施設のほか、ホタテやカキ、アサリなどの養殖も壊滅的被害を受けている。サケ・マス、サンマ漁に使う大型漁船が三陸の漁港で補修作業をしていて被害に遭い、大きな損害を生じているとの指摘もありました。いかに被害が広範に及んでいるかという実例です。
 北海道だけでも直接的な被害を積み上げると300億円を超えます。今後の出漁や収穫が見込めないので、逸失利益を算定するともっと莫大な金額になるでしょう。漁業者のみならず、漁業の加工を含めた地域経済に与える影響も極めて大きなものがあります。もちろん、最大の被災地である東北地方は、それが桁違いに大きなものになり、そうした面での二次的な救援、復興への準備、作業が急がれると実感しました。
避難者支援 心のケア含め対応必要
 これから各都道府県や市町村の自治体による支援が期待されます。自治体による避難者の受け入れなどの対応が重要になってくるので、わが党も議員間のネットワークを通じて、こうした作業を促す取り組みをしていきたい。
 たとえば東京都は、三宅島の噴火災害で4年近くも全島民が避難を余儀なくされた経験があります。その経験から言えば、(1)もともとのコミュニティーを可能な限り維持する(2)ふるさとへの愛着心をキープする(3)各避難地との関係を大事にする―という三つの面によく配慮しながら、避難されている方々の心のケアも含めての対応が大切です。
(公明新聞:2011年3月23日付より転載)