1f546dc8.jpg 3月20日、公明党の山口那津男代表は、広島市内で開かれた時局講演会に出席し、東日本大震災に関して、11日の地震発生からこれまでの公明党の対応を報告するとともに、復興に向けた取り組みについて見解を述べました。
内閣は震災対策に専念、集中せよ。公明は全力で協力する
 山口代表は、未曽有の地震と津波、原子力発電所事故が重なった大災害に対して、「与党も野党もない。力を合わせて国難ともいうべき事態に対応しなければならない」との認識を表明。公明党の果たす役割について政権与党・民主党には地域に根を下ろしたネットワークが十分にないことを指摘し、「ネットワークの力がある公明党こそ、チーム力を生かして国難を乗り切るため、役に立たなければならないと強く自覚している」と訴えまいた。
 また、菅直人首相が19日、自民党の谷垣禎一総裁に震災対策担当相としての入閣を打診し、断られたことに言及。さらに11日夜、山口代表にも首相から電話で「公明党にぜひ協力をお願いしたい」と連絡があった際、山口代表は首相に「今、いちばん大切なことは震災対策に専念し集中すること。早く震災対策を束ねる司令塔となる担当相を任命すべきだ。(震災対策には)公明党は全力で協力する」と語ったことを説明しました。その上で、山口代表は「首相に必要なことは、野党対策ではなく、震災対策であり、国の再建策だ」と指摘しました。
被災地に真っ先に駆けつけた公明。物資供給や原発冷却で光る提案。
 山口代表は、災害初期の救援、それに続く生活再建、復興と各段階に応じて手を打つことが重要と指摘。初動段階では、井上義久幹事長が被災現場に真っ先に駆け付けるなど、食料や水、燃料といった物資の不足を訴える声に敏感に反応し、「緊急で足りないものを現場に届けよ」と、政府に迫ってきたことを力説しました。
 その中で、燃料の供給を急ぐため、国家備蓄の取り崩しを要請して実施させたことや、原発施設を冷却するため、ビル建築用の特殊な機械を提供したいという建設業者の申し出を政府につないだことなどを紹介し、「とにかく公明党の提案が役に立てばいい。どんどん具体的な提案をしていく」と述べました。
 また、被災地の地方議員が自らの被災を顧みず、被災者の激励、救援に奮闘している姿を紹介。岩手県久慈市議や福島県南相馬市議などの報告を例に挙げ、「これが公明党だ」と強調しました。
救援・復興へ不要不急の予算削り、国会議員歳費の3割を充てよ
 山口代表は、被災地の復興には莫大な予算が必要と強調。2011年度予算の予備費を活用するほか、「子ども手当は児童手当以上に多額に使う必要はない」「高速道路無料化は、あえて今やる必要はない」として、不要不急な予算を削って復興の財源に充てるべきだと提案しました。
 さらに「国会議員歳費を3割削減して救援・復興に充てようと提案し、民主党や自民党、各党トップに自ら電話してお願いした」と語り、「(各党の)合意をまとめて被災者のために送り届けたい」と述べました。
地域で「支えあう」社会を。日本再建へ公明は総力挙げる
 山口代表は、公明党が開設した義援金口座に、早くも2億円を超える真心の浄財が寄せられたことを報告し、深い謝意を表明しました。
 さらに「未曽有の災害にあたって、これから最も必要なことは、地域で支えあうこと、地域を越えて支えあうこと、こういう日本の国・地域を築いていくことだ」と強調。
 「支えあいの先端で、わが身を削って、地域の皆さんとともに働き回るのが公明党議員だ」と訴えるとともに、「あらゆる困難の中にチャンスを見いだして、公明党は日本の再建に総力を挙げる決意だ」と力説しました。
広島市での山口代表の講演(要旨)
公明新聞(2011年3月21日付)
被災者の声、直ちに生かす、公明議員、悲痛な叫び受け止め
 今、東日本は地震、津波、原発事故が一遍にくる未曽有の大災害に見舞われています。もう与党も野党もなく、力を合わせ国難ともいうべき事態に対応しなければなりません。民主党政権には地域のネットワーク力、与党の力を生かすことが残念ながら十分ではありせん。しかし公明党にはその力があります。今こそ、公明党のネットワーク力、チーム力を生かして国難を乗り切っていく、役に立っていかなければならないと強く自覚しているところです。
 (19日に)菅直人首相が、谷垣禎一自民党総裁に震災担当大臣で入閣をお願いし、谷垣氏は協力はするがいきなり大臣と言われても困ると断りました。その後、首相から私に自民党はもちろん、公明党にも協力をお願いしたいと電話をいただきました。私は「今、一番大切なことは震災対策に専念し集中することです。公明党が提案したように早く震災対策を束ねて、司令塔になる震災対応大臣を任命し、決めるべきことをどんどん提案してください。公明党は全力で協力します」と答えました。首相に一番必要なことは野党対策ではなく、震災対策、国の再建策だと思います。
 大災害(対策)には、大きく三つの段階があります。まず命を助け、被災者を守り、安心感を与えていく。こういう現場中心の臨機応変な初動段階の活動です。次に「明日からの生活や仕事をどうしようか」と、生活再建へという時がきます。いずれは破壊された街を復興し、活動が停滞した企業を活発にし、日本を再建、復興していく段階になります。各段階で必要なことをしっかり見届け、手を打つ。次の段階を見ながら準備する。そういうことを怠らずにやることが一番大事です。
 あらゆる政党の中で、被災地の現場に一番先に駆け付けたのは公明党の井上義久幹事長です。自ら被災しながら市町村議員は、家が流され家族が犠牲になられた方を励まし、被災者を一生懸命に助けています。
 現場で皆さんが一番困っていることは、食料と水、暖房がないことです。公明党の提案は具体的です。体育館に避難しても石油ファンヒーターは電気がないと使えない。反射式ストーブがあれば倉庫から出して供給してほしいと要望しました。ガソリンが足りず車が動けない。被災者を救い出すことも食料を届けることもままならない。病院に自家発電するための重油が足りない。助かる命も失われかねない―。そういうことを現場からつぶさに伝え合ってくるのが公明党です。
 与野党党首会談でそうした現地の声を踏まえ「今、緊急に足りないものを早く現場に」とお願いし、ようやく少しずつ(届き始めている)という状況です。石油が足りないなら備蓄を取り崩すよう提案し実現させました。原発が心配ですが、今は過熱する発電所を冷やすことが重要です。消防庁や自衛隊の方々が頑張っていますが、建設業界の方が、長いアームで真上近くから長時間続けて水を流せるドイツ製の機械があるというので、政府・与党に直ちに申し上げ、現場に運ばれつつあります。
 被災地の議員から元気な電話をいただきました。岩手県久慈市は津波の大被害を受けたが(議員は)かろうじて命が助かったと。家に戻ると倉庫にあった水や灯油などを自分の車に載せて避難所を回り、皆さんを激励して頑張っています。
 福島県南相馬市の女性議員は、原発事故の屋内待避地域でありながら(他の地域に)避難できない方々がいる老人ホームに米や水などを必死に届けています。市民が安全になるまで歯を食いしばってとどまって救援に当たっています。ガソリンがなく自転車か徒歩で動いていると元気な声で報告をいただきました。これが公明党です。民主党議員にこういう行動があるでしょうか。大臣が被災地に行って悲痛な叫びを受けて“これをやるから公明党も協力してくれ”という声は残念ながら強く響いてきません。
 19日に茨城県と千葉県の被災地に行きました。テレビには出ませんが、船はひっくり返って陸に上がり、家は傾いて使い物にならない。港のコンテナが津波で流れ出し、四方八方そこら中で家や電柱にぶつかった。そういう“忘れられた被災地”があります。そこで実情をつかみ、市役所から要望を受け、「仮設住宅を早くつくってください」といった切実な声を受け止めてきました。そういう具体的な声に一歩一歩必要な手を打っています。
 住宅を失った人たちのこれからの生活をどうするのか。ここでも公明党の出番です。都議会議員と相談し、都営住宅や公共施設で、何千人の人が受け入れられるのかを取りまとめ、隣の県や市に呼び掛けて、現地と連絡を取り合いながら実行していこうと呼び掛けました。近く都から直接、チームを仙台市に派遣し、仙台市や宮城県、岩手県などの声を受け止めながら、被災者の救援に役所ごと当たっていく活動が始まります。これからの住宅や仕事の問題などを公明党の総力を挙げて全国ネットで展開していきます。
 復興には莫大なお金がかかります。私は党首会談で、こういう状況だから(来年度)予算は早く成立させ、予備費は使えるだけ使う。子ども手当は児童手当以上に多額に使う必要はなく、高速道路無料化も今やる必要はないため、不要不急のところを削って、早く震災の救援・復興に充てるよう提案しました。さらに、国会議員が自ら身を削って範を示し、国会議員歳費を3割削減して復興・救援に充てるよう提案し、民主党、自民党など各党のトップの方々に自ら電話してお願いしました。断る人は一人もいませんでした。ぜひこの合意をまとめたい。
 公明党は14日に災害義援金口座を開設し、募金を呼び掛けています。本当に感謝を申し上げますが、わずか3日間で1億円を超え、今は2億円を超えました。18日に日本赤十字社に第1次寄託として1億円を届けました。皆さんの真心が現場の被災者に確実に届いていくことになります。
 未曽有の災害に当たって、これからの日本社会に最も必要なことは、地域で支えあっていく、そして地域を越えて支えあっていく日本の国と地域をしっかり築くことです。その中で統一地方選挙を迎えますが、支えあいの先端で身を削って皆さんと共に働き回るのが公明党議員です。短期決戦ですが、支えあう社会の先頭に立って闘う公明党候補にお力を賜りたいと心からお願い申し上げます。