震災復旧に50億円超、今年秋のビーム再開を目指す
参考写真 東日本大震災は、日本の科学技術研究にも深刻な打撃を与えています。
 4月15日、井手よしひろ県議ら公明党県議団(高崎進県議、田村佳子県議、八島功男県議)と東海村村議団は、東海村の大強度陽子加速器施設(J−PARC)を訪ね、永宮正治センター長より被害状況を聴き取るとともに、現状を調査しました。
 日本原子力研究開発機構と高エネルギー加速器研究機構が共同で建設・運営しているJ-PARCは、11日午後の地震発生時はリニアック(直線加速器)のみが運転を行っていました。2時46分の地震発生とともに直ちに自動停止。J-PARCエリアには津波の影響は無く、負傷者も出ず、放射線に関する問題も生じませんでした。
 鈴木國弘J-PARCセンター広報セクションリーダーによると、当日J-PARCには、千葉県松戸市にある千葉県生涯大学校東葛飾学園の見学者約40人が訪れていました。J-PARCには、全国から年間約8000人を超える見学者が訪れており、J-PARC広報セクションでは、1日で2〜3組の見学者に施設の説明や案内などをしています。地震発生時、見学者にJ-PARCの概要について説明をしていたところ、突然、強い地震の横揺れに見舞われました。見学者がテーブルの下に隠れた直後、天井のプロジェクターや、天井材がすべて落下しました。間一髪で全員が無傷でお帰りいただくことが出来ました。
 その後、茨城県沖を震源とするM7.4の大きな余震が発生。見学の方々は、約16時間かけて全員無事に松戸へ安着されたとのことでした。
参考写真 J-PARCは人的被害もなく、津波の被害もありませんでした。しかし、建物周囲や道路は大きく陥没し、装置やタンクなどが傾いているものもあります。施設は安全に停止していますが、各機器や装置の被害状況の把握が進むにつれ、ライフラインも含めて施設は大きな被害を受けていることが判明しました。
 当初、200億円とも見込まれた復旧費用は、50億程度で可能ではないかと現在試算されています。施設本体は、岩盤まで届く基礎支柱によってしっかりと守られてためです。
 ただ、J-PARCは人口10万人程度の家庭の電気量に匹敵する大量の電気を消費するため、電力事情の改善が施設再開の鍵になるとの懸念もしましました。
 永宮センター長は、「出来れば秋までに、遅くても今年度中にビームラインを再開したい」と、強く決意を語りました。
 説明聴取の後、一行はJ−PARC用地内を視察するとともに、茨城県のビームラインの状況などを現地調査しました。