参考写真 未曽有の大地震と津波、東京電力福島第1原発事故によって、いまだに約14万人が避難生活を強いられています。震災発生から1カ月余が過ぎたが、なお被害の全容は把握できず、電気や水道が不通の避難所もあります。
 こうした状況下でも、被災者は復旧・復興に向け懸命に動き出そうとしています。避難所から仕事場に通い、また、新たな職場を求める活動も始まっています。救援活動とともに、被災者に対する生活再建の支援を本格化させる時期に入ってきたといえます。
 政治の使命は住民の生命と財産の保護です。特に復旧・復興の段階では、財産の問題が何よりも重要な問題となります。被災した家屋の再建から当面の生活費の工面、さらに企業の再建など、さまざまな局面で資金の問題が生じます。
 公明党の東日本大震災対策本部は、被災地の現状を踏まえた「復旧・復興に関する緊急提言(第2回)」を政府に提出。包括的な支援策を示し、その筆頭に生活再建支援を掲げました。
 まず、資金面の不安解消として義援金の早期配分を提言。公明党の石田祝稔同本部事務局長は、4月11日の各党・政府の震災対策実務者会合で、8日に配分方針が決まった義援金を「4月末からの大型連休前までに手元に届けるべきだ」と強く主張しました。
 被災者生活再建支援法に基づく支援金支給に必要な「り災証明書」の発行も急ぐべきです。庁舎が壊滅するなどした被災自治体については県が代行発行をするよう提案、さらに、事務を補佐するために全国の自治体が実施している職員派遣などの「マンパワーの抜本的強化」を求めたが、これらも欠かせない視点です。
 中小企業再建支援では、「これまでの枠組みを超えた新たな中小企業支援策」が必要となります。提言に沿って、「災害復旧貸し付けの既往債務の一本化・借り換え制度」を創設するべきです。
 この災害復旧貸し付けに関し公明党の荒木清寛議員は、12日の参院財政金融委員会で(1)取引先が被災した全国の中小企業も対象に追加(2)貸付限度額を現行の1.5億円から5億円に拡充―することなどを具体的に政府に迫りました。
 今回の震災は、災害規模が想定を大きく超えているとはいえ、政府の対応はあまりに鈍いと言わざるを得ません。
被災都道県への第1次義援金配分割合を決定
 東日本大震災による被災者に対して全国から寄せられた義援金を、被災都道県に配分するため、4月8日、「義援金配分割合決定委員会」が設置されました。この委員会で、被災状況に応じて、それぞれの被災都道県への義援金の配分割合が審議され、その額が決定しました。
住宅全壊・全焼・流失、死亡、行方不明者:35万円
住宅半焼、半壊:18万円
原発避難指示・屋内退避指示圏域の世帯:35万円

を基準として、これに対象世帯・対象者数を乗じた額を各被災都道県に配分することになりました。
 13日には日赤と共同募金会が、全国から寄せられた義援金計約1459億円のうち、第1次配分として福島、栃木、長野各県に計約232億円を送金しました。内訳は福島県が230億600万円、栃木県が2億5215万円、長野県が1950万円となっています。
 また15日には、宮城県に156億1168万円、新潟県に1671万円、埼玉県に1032万円を送金しました。
 義援金は各県が定めた配分基準に従い、市町村を通じて早ければ月内にも被災者に渡る見通しです。
東電、原発事故の損害への仮払補償金として100万円/世帯の支払いを決定
 東京電力(東電)は4月15日、国の「原子力発電所事故による経済被害対応本部」において、原子力災害対策特別措置法の規定に基づき、福島第一原子力発電所の事故に伴い避難を余儀なくされた地域住民に対し、当面の必要な資金を「仮払補償金」として支払うことを決定しました。
 仮払補償金は、今回の原発事故に伴い、「避難」・「屋内退避」が指示された地域などに居住する住民に支払われるもので、国が決定した「原子力災害被災者に対する緊急支援措置について」を踏まえ、1世帯あたり100万円、単身世帯の場合には75万円を支払います。4月15日以降、避難・屋内退避区域の市町村と具体的な範囲などの調整を実施した後、避難所などにおいて説明および申請書類の配布を開始する予定です。
 今回の仮払補償金の支払い対象となる区域は以下のとおりです。
避難区域
*福島第一原子力発電所から半径20km圏内
* 福島第二原子力発電所から半径10km圏内
屋内退避区域
* 福島第一原子力発電所から半径20km以上30km圏内

 また、今後、原子力災害対策特別措置法に基づき、「計画的避難区域」が新たに設定された場合は、その地域も同仮払補償金の対象となります。