4月18日、井手よしひろ県議は鹿島アントラーズFCのホーム・茨城県立カシマサッカースタジアムを訪れ、東日本大震災の被災状況と復旧に向けての工事予定などについて、現地調査を行いました。
 カシマスタジアムは、東日本大震災で大きな被害を受けました。大震災では南北方向の大きな横揺れが長時間にわたりスタジアムを襲いました。その結果、天井に設置された照明機器や点検用の通路(キャットトォーク)、音響機器などに大きな被害が出ました。照明も音響も使えない状況になっています。また、大型映像装置もシャッターが完全に開かず、画像が写るか実際の試験も出来ない状況です。さらに、北サイドスタンドの1階部分が南方向に数十センチずれてしまい、観客の安全が保てなくなってしまいました。
 茨城県は、4月15日、カシマスタジアムの復旧工事について、アントラーズが6月4日に開催するチャリティマッチまでに、仮設照明などの応急処置を行うことを発表しました。工事費は総額5億5千万円に上り、4万人収容の観客席のうち3万4千席を使えるようにする計画です。
 破損の著しいメーンスタンド、バックスタンドの屋根に取り付けられた照明計408基と音響機器はいったん全て取り外します。修理をして使える機器はそのまま使用し、2階席の4カ所に仮設します。この仮設照明は、Jリーグがナイター試合の基準としている1500ルクスに届かない懸念もありますが、指定管理者である鹿嶋アントラーズは「応急処置であることや電力事情の逼迫から節電が求められており、Jリーグコミッショナーの理解は得られる」であろうとしています。
 18日の視察時には、30メートルを超える高所作業が出来るクレーンが3台一組で、二組グランド内に入り、キャットウォークの撤去が行われていました。
 また、ズレが生じて危険な北サイドスタンド1階部分は、ジャッキアップとチェーンブロックによる牽引工法で、元の位置に戻すことにしています。
 大型映像装置については、現時点では手つかずで、今後、シャッター部を修理し、映像パネルを一つひとつ取りはずして点検しながら、修復を図ります。
 応急処理に必要な総額5億5千万円の工事費は、3月25日に専決処分した2010年度一般会計補正予算のうち7千万円と、国の補正予算成立後の6月議会に提出予定の2011年度補正予算4億8千万円で対応する予定です。
 完全復旧に向けての工事は、12月から来年3月までのシーズンオフに実施する予定です。工事総額は現在、まだ見積もられていません。
 茨城県の復興のシンボルとして、カシマサッカースタジアムの再建は、重要なポイントであると考えます。
 アントラーズのファンとしても、積極的にカシマスタジアムの再建に協力したいと思います。例えば、大型映像装置の修理を、サポーターの募金活動で行うことが出来ないでしょうか。皆さまのご意見をお伺いしたいと思います。
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 4月18日、グラウンド内にクレーン車など重機6台が搬入され、屋根に取り付けられたキャットウォークを撤去する工事が行われていました。カシマスタジアムを特徴付けていた屋根に取り付けられた照明機器は、すでに取りはずされ、2階席の四隅に仮に設置されます。重機の作業場所を確保するため、グラウンドの芝を、ピッチぎりぎりまで剥がして鉄板が敷き詰められていました。
 仮の照明のため、Jリーグ公式戦の基準である1500ルクスを確保できない可能性があります。
 この日、Jリーグの大東和美チェアマンも、カシマスタジアムを視察しており、時事通信の報道によると、「こういう時だから、安全にプレーでき、お客さんが安全であれば1200〜1300(ルクス)でもいいと思う」と語ったと伝えられています。
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 シャッターが途中で開かなくなった大型映像装置。現状では、画面の通電試験も出来ないために、修理のどのくらいの費用や時間が掛かるかも分からないと説明を受けました。
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 北サイドスタンドの1階最上部の各席部分。地震の巨大な横加速度で、スタンド自体が南方向に数十センチ移動してしまいました。固定していた大きなビスも破断して、危険な状態にあります。1ブロック10トン近くあるスタンドをジャッキアップし、チェーンブロックで北方向に引っ張ることによって元の位置に戻す作業を進めています。その後に、ビスで再固定します。