参考写真 東日本大震災の復旧・復興には災害ボランティアの活動が不可欠です。特に、注目されているのが“ボランティア・バスパック”の試みです。
 ボランティア・バスパックとは、ボランティア活動を希望される方や団体が、それぞれの地域でボランティアを募り、バスを手配して、被災地に赴きます。地元の災害ボランティア組織は、そのバスパックを受け入れ、地元のボランティアリーダーの指揮の下、効率的で安全な活動を行おうとするものです。多くのボランティア活動者の力を、多くの被災者のもとへ届ける自己完結型のボランティア支援の形です。
 個人でボランティアに参加しようとすると、被災地への移動手段やその交通費など多くの負担が掛かります。また、地元のボランティアセンターでは、いつ、何人ぐらいのボランティアが来てくれるのか予想が付かず、計画的な災害復旧活動が出来ません。さらに、受付や活動場所の手配など、多大な労力を必要とします。また、食事や水、トイレなど、ボランティアの分も地元で手配することは、被災地の住民に返って重荷となってしまいます。こうした課題を、一挙に解決するのがボランティア・バスパックです。
参考写真 現在、茨城県社協と石塚サン・トラベルが宮城県災害ボランティアセンターと連携して行うボランティア・バスパックが、全国から注目を浴びています。石塚サン・トラベル(綿引薫社長)は、地元茨城県の一般ボランティアの力を被災地に届けるために、茨城県社会福祉協議会の協力を得て、ボランティアバスを企画しました。被災地の燃料事情や交通渋滞、宿泊や食事手配困難の状況から、個人ボランティアではなく、団体ボランティアバスを運行することで、多くの力を被災地に届けることを目的としました。
 採算を度外視にしたボランティアバス計画で、日帰りのバスパックは、昼食のお弁当付きで3000円。二泊三日のバスパックがビジネスホテルの宿泊料、食事7食分が付いて2万1000円という価格です。
 この情報は、ネットやツイッターで全国に拡散され、4月24日にはNHKの全国ニュースで紹介されるにいたって、予約者が殺到しました。4月25日、井手よしひろ県議が石塚サン・トラベル本社に綿引社長を訪れた際には、5月7日までのゴールデンウィークのバスは全て満席。各車両20名以上のキャンセル待ちが発生しているということでした。ボランティア受入れ先も東松島市に決定し、29日の第一便出発のための準備に奔走していました。
 4月29日から5月7日のゴールデンウィーク期間には、大型バス延べ17台、900名のボランティアが東松島で活動することになりました。
 綿引社長は、「ひたちなか青年会議所で宮城県の青年会議所とのお付き合いがありました。震災後に宮城県を訪れた際、その悲惨な状況に言葉を失いました。茨城も被災地ですが、茨城の心意気を東北に届けたいと、ボランティア・バスパックを企画しました。はじめは、ゴールデンウィークに一台でも二台でも出せればよいと考えましたが、その反響に正直驚き、感動しています。7割以上が県外からの申し込みです。ゴールデンウィーク以降も土日を中心に企画を続けていきたいと思います」と、語りました。
 なお、井手県議は行政とのパイプ役として、ボランティア・バスパックの高速道路の通行料免除について、県や高速道路事業者と連携を図りました。
参考:茨城県災害ボランティアバス募集の案内