参考写真 5月26日、井手よしひろ県議は日立港振興協会の顧問として、日立港(正式には茨城港日立港区)の復旧・復興の方針を協議する協議会に出席しました。
 日立港は、3月11日の東日本大震災ならびにその後起こった津波によって大きな被害を受けました。
 しかし、懸命な復旧作業により、昨日(5月25日)日立=釧路の定期RORO(ローロー)航路が再開されました。地震による液状化や津波で大きな被害を受けた日立港第4埠頭の応急復旧が完了し、約2カ月半ぶりの定期船受け入れとなったものです。
 再開した定期航路の積み荷は、釧路からの牛乳や農産物が中心で、関東一円に流通されます。日立港からは、再生用の古紙や自動車などが積み出されます。
 日立港の次の課題は、完成自動車用の第5埠頭地区C岸壁(水深10m)、D岸壁(水深12m)と復旧と荷捌き地等の整備です。
 一刻も早く、自動車の輸出入を再開することが、日立港が生き残るための条件となります。
●東日本大震災による被災状況
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  • 日立港では、地震による岸壁、物揚場の損壊、液状化現象による埠頭用地の陥没などに加え、津波による港内への大量の土砂堆積などの被害が発生し、震災直後は全ての港湾施設の使用が不可能となりました。
  • 津波の影響により荷役設備、上屋、電気設備が浸水被害を受け、機械設備はほぼ全面的に使用不能となりました。
  • 日立港では、第1、第5埠頭地区の岸壁背後が特に液状化が激しく、1m程度沈下しまし。
  • 第1、第2、第4埠頭地区では先端部の護岸が損壊し、岸壁の一部が利用できない状況となりました。
  • 自動車専用船が利用していた第5ふ頭地区においては、津波により岸壁背後の荷捌き地に置いていた自動車が漂流して散乱し、一部は陸上で炎上し、一部は海中に沈没している状況となりました。
  • 比較的被害が少ない第2埠頭地区B岸壁(水深9m)及び第5埠頭地区D岸壁(水深12m)の前面の泊地及び航路について深浅測量を実施したところ、航路の一部に沈没物が確認されました。

●応急復興対策
  • こうした状況を踏まえ、3月20日より、第2埠頭地区B岸壁(水深9m)については、吃水6.5mまでの船舶のみ、第5埠頭地区D岸壁(水深12m)については、吃水9mまでの船舶のみが利用可能な岸壁として供用開始しました。
  • 第1埠頭地区C岸壁(水深7.5m)については、岸壁前面の泊地及び航路において深浅測量を行い、水中の沈没物が確認されたため、3月29日より吃水5.5mまでの船舶のみが利用可能な岸壁として供用開始しました。
  • また、第1埠頭地区B岸壁(水深7.5m)については、岸壁背後の段差を解消し、4月2日より吃水5.5mまでの船舶のみが利用可能な岸壁として供用開始しました。
  • 第4埠頭地区E岸壁について、段差等を解消し、5月9日利用可能な岸壁として供用開始し、釧路定期RORO航埠が5月25日に運航再開しました。

●復旧・復興の基本的考え方
  • 日立港区の災害復旧に当たっては、利用企業の操業再開の見通しに対応して、現在の施設の復旧を基本とします。但し、将来の利用動向、利用形態を踏まえ、低利用が見込まれる岸壁については、安全上最低限の復旧を行うことになります。
  • 埠頭用地の復旧については、今後の利用を見極めながら、岸壁と合わせて整備を進めていくものとします。
  • 背後地域への緊急物資輸送、背後企業の速やかな活動再開に対応するため、復旧に合わせ耐震性を強化した岸壁の整備を行います。
  • 被害が大きい第4ふ頭D岸壁(水深10m)については、耐震対策を実施する岸壁として復旧方針に位置づけるものとします。
  • 主要な港湾施設については、平成24年度内の完全復旧を目指し、国の災害査定実施後、速やかに工事に着手します。

●具体的な復旧方法
1)最優先に復旧する施設
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  • 完成自動車の輸送に早期に対応するために、第5埠頭地区C岸壁(水深10m)、D岸壁(水深12m)、背後の荷捌き地等を整備し、航路・泊地の浚渫を行い港湾施設の復旧を図ります。
  • 第4埠頭地区E岸壁(水深12m)及びヤードの整備と、航路・泊地の浚渫等を実施し、港湾施設の復旧を図ります。
  • 第4埠頭地区D岸壁(水深10m)について、耐震性を強化するために必要な検討を進め、早期の復旧に努めます。
  • 非鉄金属の原材料などのばら貨物を取り扱う第2埠頭地区B岸壁(水深9m)について、岸壁、背後の荷捌き地、上屋等の復旧を行います。
  • 第1埠頭、第2埠頭、第4埠頭の損壊した護岸の復旧を行います。

2)優先的に復旧する施設
  • 背後の油槽所及びセメント工場の生産活動を支えるため、第1埠頭地区B岸壁(水深7.5m)、C岸壁(水深9m)、D岸壁(水深10m)について、岸壁等の復旧を行います。
  • 第5埠頭地区B岸壁(水深10m)及び背後の荷捌き地等の復旧を行います。

3)その他の施設
  • 東防波堤、沖防波堤などの外郭施設などの復旧を行います。

●今後対応すべき事項
1)港の復旧・復興について
荷主や船主などの港湾利用者に対し港湾機能の復旧状況についての情報を積極的に提供するなど、復興に努めます。
2)津波防災
日立港区においても、8m程度の津波が来襲しており、港の利用や背後の土地利用を踏まえた津波防災のあり方について検討を行い、6月未頃を目途に取りまとめます。(日立市と調整)
3)地盤沈下
今回の震災により、日立港区を含む茨城県内の港湾が地盤沈下しているが、沈下の具体的な状況を踏まえて、関係者との調整を行い、6月中を目途に対応をとりまとめます。
但し、被災前から完成自動車の荷役に支障のあった第5ふ頭については、嵩上げを行います。