参考写真 5月25日、井手よしひろ県議は茨城県栽培漁業センターを訪れ、震災被害の状況を現地調査しました。
 茨城県鹿嶋市にある県の栽培漁業センターでは、地震の被害であわびの稚貝およそ100万個などが全滅し、茨城県が復旧作業を急いでいます。
 茨城県栽培漁業センターでは「つくり育て管理する漁業」を推進するため、ヒラメや鹿島灘はまぐり、アワビなどの重要な水産資源の稚魚や稚貝の生産・放流を行っています。1995年に県が約38億円をかけて設立。約2万6千平方メートルの敷地に、アワビの屋外飼育水槽、二枚貝棟、魚類の育成棟、管理棟などがあります。鹿島灘の海底から海水を引き込んで育てたアワビの稚貝やヒラメの稚魚などは、海に放流されて貴重な漁業資源になってきました。2009年度の生産実績はアワビの稚貝が約28万個、ヒラメの稚魚が約100万匹など。10年度の生産計画はアワビの稚貝が30万個、ヒラメの稚魚が85万匹、アユ30万匹などでした。
参考写真 しかし、3月11日の東日本大震災で、大規模な液状化が発生し、地下の配管が壊れて水槽に海水を送れなくなりました。その上、停電のためポンプが作動せず酸素が供給できなくなったりしたため、育てていた魚介類がすべて死にました。2カ月以上経っても、センターの敷地は50センチ以上の液状化で噴出した細かな砂で全面が被われています。
 施設の運営を委託されている(財)茨城県栽培漁業協会の森栄事務局長は、「あわびの稚貝は、センターで育てたものが茨城県沖に放流され、茨城県で水揚げされるあわびのおよそ70%を占めるているとされており、放流ができなくなった場合、数年後には漁獲量が大きく減少するおそれがあります。窮余の策として、ひたちなか市の県水産試験場栽培技術センターの施設を借りて、アワビの稚貝の生産に取り組んでいるます。今秋には、水揚げされたアワビの親貝を買い付けて採卵し、2年後には放流可能な状態に育てたい」と語りました。
(写真上:全滅したアワビ屋外飼育槽を視察する井手よしひろ県議、写真下:液状化して噴出した砂に被われた管理棟正面玄関)