参考写真 茨城県の東海村にある日本原電「東海第2原子力発電所」の運転再開を巡って、茨城県の橋本昌知事は21日の記者会見で、「東海第二発電所は、海江田経済産業大臣が求めた原発の運転再開の対象に入っていない」と資源エネルギー庁から連絡を受けたことを明らかにしました。
 東海第二発電所は、震災で自動停止したあと、先月から6ヶ月間の定期検査に入ってます。一方、海江田経済産業大臣は、6月18日、深刻な事故に対する対策が適切に実施されていることを確認したとして、運転を休止している原発の運転再開を、立地する自治体に求めています。
 橋本知事は、記者会見で「東海第二発電所も運転再開を要請されているのか」を原子力安全・保安院に問い合わせたところ、「きのうの夜中に資源エネルギー庁から『東海第二原発は要請対象には入っていない』という連絡があった」ことを明らかにしました。その理由は、「地震の影響を分析しきっていないので、今後、十分分析してから国として判断していく」と答えたということです。
 橋本知事は「大臣が記者会見で一般論を言うのはおかしく、知事なり市町村長にきちんと話をするべきだ」と述べました。また、今後の電力政策については、「原発がなくなっても電力が確保できる状況が将来できるかどうかだ。国民県民が納得してくれる政策が大事で、納得できるのなら誰だって脱原発のほうがいいと思う」と述べました。(知事の発言はNHKの報道をもとに記載しました。写真は、公明党茨城県議会議員会の東海第2原発現地調査の模様)
福島第1原発事故の教訓が全く活かされていない“安全宣言”
 原子力発電所の安全対策についての政府の言動は、一貫性を欠いています。
 東京電力福島第1原発の事故原因が解明されていないことは、国際原子力機関(IATE)閣僚会議に提出した政府報告書にも「事故報告書としては暫定的なもの」であると認めています。
 ところが海江田経産相は6月18日、福島第1原発と同様の事故を防ぐための安全対策が全国の原発で実施されたとして、現在、定期検査などで停止中の35基の原発の再起動(再稼働)について「安全上支障がない」とする談話を発表しています。
 政府として暫定的な事故報告しか出せない段階で、なぜ経産省は「安全」と宣言できるのか。大いに疑問が残ります。
 さらに談話は、停止中の原発が再起動できないと「電力需給が逼迫する」などと述べ、「わが国経済の今後の発展のためにも、原子力発電所の再起動を是非お願いしたい」と結んでいます。安全よりも経済優先、これでは、福島原発の教訓が何も活かされていません。
 さまざまなメディアが福島第1原発の事故後に行った世論調査でも明らかなように、原発の即時廃止を求める声はごく少数です。国民は今、原発の存在と真摯に向き合い、原発のリスクを冷静に見極めながら、将来のエネルギー供給の在り方を真剣に考えようとしています。
 この時に必要なことは、国民が求める安全・安心につながる、しっかりとした調査と確かな情報の開示です。
 公明党は3月11日の事故発生後、どの党よりも早く全国の原発の緊急総点検を政府に迫り(3月25日)、津波対策と、原子炉が緊急停止した際に炉心を冷やすために必要な外部電源の確保などについて調査するよう求めました。
 政府は3月30日に原発の事業者に点検を指示、今月7日までにその結果を公表しました。しかし、その間、事故直後に炉心溶融(メルトダウン)が起こっていた事実を2カ月もたって公表するなどの失態を演じています。さらに5月16日、「津波で被害を受けたが地震では問題なかった」としてきた政府見解と異なり、地震で外部電源供給の基幹設備が破損していた事実も判明しました。
 このため緊急提言は、地震による破損などの調査を原子力安全・保安院だけでなく原子力安全委員会も含めた政府全体の責任で行い、結果を国会に報告するよう求めています。
 政府の安易な安全宣言は“安全神話”の再生産であり、国民の信頼を完全に失っています。
 さらに、東海第2発電所が“安全宣言”の対象外との発言は、混乱に輪を掛ける結果になっています。