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 6月23日から25日にかけて、井手よしひろ県議は、福島、宮城、岩手の東北三県の海岸部を実地調査しました。
 被災地を実際に我が目で確認し実感したことは、本当に震災から100日以上が経過したのかという錯覚に陥ります。あの日いらい時間が止まってしまったかのような荒涼たる風景に今も出くわし、何とも言えぬ寂寥感に苛まれます。
 実際に被災した人や現場自治体の関係者、復興作業に係わるあらゆる事業者の方の努力は、涙ぐましいものがあります。しかし、先頭に立つべき政府の力不足が改めて痛感されます。
 新たな問題も出始めています。それは、「復旧格差」ともいうべき現象が被災地間、被災者間で広がっていることです。
 象徴的なのは、がれきの処理。順調に片付けが進み、飲食店などが営業を再開した地域もあれば、ほとんど手付かず状態の所もあります。
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 例えば役場ごと津波に流され、町の大半ががれきの山と化した宮城県南三陸町では、今も水道が復旧せず、住民は川で洗濯しています。停電の復旧をする電力会社の作業員が懸命に復旧作業を進めています。
 岩手県陸前高田市を車で走ると、海沿いにがれきの壁がそびえ、その先の海面に崩壊した野球場の一部が浮き上がって見える。身の毛がよだつ光景です。
 宮城県の気仙沼市も、港の北部地区は水没した家屋が無残な姿をさらしたままになっています。あたかも津波で流された船の墓場のような光景が広がっています。
 国は「がれき量や被災度が違い、やむを得ない」と説明していますが、復旧の第一歩であるがれき処理の地域間格差がこのまま放置され続けるなら、今後の生活再建や産業再生にまで尾を引き、「復興格差」となって一層深刻な事態を招きかねないと危惧します。
 政府は「地元任せ」の姿勢を改め、それぞれの地域の実情に見合ったメリハリのある支援を心掛けてもらいたいと思います。
 この格差は、被災者一人一人の生活にも及んでいます。仮設住宅や賃貸住宅に移った人々に比べ、プライバシーがない避難所で暮らす人たちの生活は限界を超えています。不眠症や栄養不良で体調を崩す人は後を絶たず、梅雨に入り食中毒や感染症の拡大も懸念されます。
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 その一方で、避難所を出ると支援物資が入らないため、せっかく引き当てた仮設住宅への入居を躊躇う人もいることが報道されています。新しい格差と貧困を生む土壌となりかねません。
 日赤などに集まった義援金の受け取りにも不公平が生じています。大半が市町村の窓口で滞り、いまだに支給ゼロという所もあります。庁舎が被災し、役場の機能が復活していないためですが、なぜ国は積極的に職務代行しないのでしょうか。
 怠慢という以上に無慈悲であり、被災者ならずとも、怒りが込み上げてきます。
 公明案をほぼ丸のみした復興基本法がようやく成立しました。被災者の目線に徹したきめ細かな対応で格差解消を急ぐべきです。