8月4日、「年金確保支援法」が成立
参考写真 8月4日、国民年金の加入者が過去に未払いだった保険料をさかのぼって支払える事後納付期間を、現行の2年から10年に延長する「年金確保支援法」が、衆院本会議で可決、成立しました。
 国民年金は、最低25年間(保険料免除期間、カラ期間含む)保険料を納めなくては受給資格を得ることができません。また、25年以上保険料を納めても、満額の年金を受給するには40年間(20〜60歳の480カ月)納める必要があり、未納期間が多いほど、受給額は少なくなってしまいます。
 自営業者などが加入する国民年金保険料の納付率(2010年度)は59.3%と過去最低を記録。4割以上の人が保険料が未納という深刻な状況に陥っています。保険料が未納のままだと無年金などの人が増えてしまう懸念があります。
 今回の改正はこうした事態を踏まえ、事後納付期間を現行の過去2年間から10年間に延長することで、無年金や低年金の人を救済することが狙いです。
 さらに、老後に無年金や低年金になることで生活保護を受ける人の急増が懸念されています。生活保護費の受給者はすでに200万人を突破しており、地方財政の悪化を防ぐ点からも今回の法改正の意義は大きいといえます。
 厚生労働省の推計では、最大で1600万人が将来の年金額を増やすことができ、最大40万人が無年金にならずに済むといいます。ただし、期間延長を恒久的措置にしてしまうと「後で納めればいい」と考える人も出てきてしまいかねないため、「3年間」の時限措置とされました。
3年間の時限措置、国民への周知徹底必要
 このため今後は「3年間の内できちんと納めた人を救済します」ということを国民に周知徹底し、3年間で未納者が保険料を納付できる積極的な施策を進める必要があります。
 公明党はこれまで、現行の年金制度をより良い制度に改善するため、無年金・低年金問題を、解決すべき第一の課題と主張してきました。
 具体的には、年金受給者を拡大する対策として、今回の法改正で実現に至った年金保険料の事後納付期間10年への延長とともに、(1)受給資格期間の短縮(現行25年を10年に)、(2)低所得者への加算年金制度の創設(基礎年金を25%上乗せ)―などを政府に重ねて要請してきました。
 例えば加算年金を創設すれば、国民年金は満額(約6万6000円)の人の場合、年金額は約8万3000円にアップします。公明党は1兆円程度の追加財源が必要になると具体的な数字も示しています。
 ところが、民主党は2009年マニフェストに掲げた年金の一元化や最低保障年金の創設といった政策の中身をいまだに明らかにしていません。そればかりか、今回の法改正では、会社員や公務員の夫を持つ専業主婦が夫の退職などの際、第3号被保険者の資格を失ったのに届け出を忘れ、無年金や低年金となってしまう「主婦年金問題」の救済策も先送りされました。
 民主党政権は、荒唐無稽な年金政策の非を認め、現実的な年金制度改善に全力を挙げるべきです。