参考写真 8月17日、茨城県の橋本昌知事ら県6団体(県議会議長、県市長会長、県市議会議長会長、県町村会長、県町村議会議長会長)は、東日本大震災を受け、平野達男復興対策担当相、片山善博総務大臣を訪問し、茨城県及び県内市町村を東北三県及び三県内市町村と同様に取り扱うことを求める要望書を提出しました。
 東日本大震災は、東北地方のみならず茨城県にも未曾有の被害をもたらしました。人的被害に加え、住家被害が約17万戸にも達したほか、道路や港湾、漁港、農地、学校施設などにも甚大な被害が生じています。被害額は、日本政策投資銀行の推計によれば約2兆5千億円と福島県(約3兆1千億円)の約8割に達するとともに、地震保険支払額総額も宮城県、福島県に次いで多くなっている現実があります。
 さらに福島第一原子力発電所事故は、依然として確たる収束の見通しが立っておらず、県民の日常生活や本県の経済活動に極めて大きな影響を及ぼしています。
 しかし、国の復興基本方針や第二次補正予算については、ややもすれば、東北三県を中心に考えられがちです。こうした茨城県の地震、津波による被害状況、あるいは、福島県以外では原発事故の影響を最も大きく受けていることなどを踏まえ、茨城県及び県内市町村を東北三県及び三県内市町村と同様に取り扱い、具体的な要望に特段の措置を講ずるよう、要望書では求めています。
(写真は、北茨城市内で実施された放射性物質の除染作業。福島原発事故による健康被害から県民を守るため、国の責任により、放射線量の測定や放射性物質の除去など必要な措置を講ずることを、要望しました)
平野復興対策相に対しての要望事項
  • 使い勝手のよい自由度の高い交付金の創設。補助率のかさ上げや補助対象の拡大など、地域の実情にあわせ被災自治体が提案する事業を幅広く採択すること。

  • 復興基金設置への支援。現行の財政支援制度では対応しきれない事業を実施するための復興基金については、現下の低金利環境に鑑み、運用型基金ではなく取崩し型基金となるよう、必要な財政支援措置を講ずること。

  • 港湾(岸壁、航路等)の早期復旧を図るとともに、港湾機能施設(荷役機械、ふ頭用地等)についても災害復旧事業の支援対象にすること。また、災害時の緊急輸送道路、あるいは、本県の復興の柱となる圏央道や東関道について早期に全線を開通させること。

  • 農林水産業災害復旧事業について、地元負担を軽減するため、国庫補助率の更なるかさ上げを図るとともに、従前の機能を回復するための事業についても補助の対象とすること。また、ホテル・旅館などの観光施設等に対し、施設等の復旧に対する補助や二重ローン対策など、十分な支援措置を講ずること。

  • 国指定文化財、国登録文化財などの補修等について、十分な財政支援措置を講ずること。特に旧弘道館については、国の所有する文化財であるので、国が全額国費により早急に復旧すること。また、県及び市町村指定文化財の修理・修復についても、特例措置として国による支援を行うこと。

  • 現在実施されている高速道路の無料開放について、インターチェンジ周辺の交通渋滞などの弊害を防止するとともに、被災地域の住民が公平に利用できるよう、実施範囲や実施方法を見直すこと。 

  • 福島第一原子力発電所事故の早期収束。今回の原発事故について、国内外の原子力関連の研究者や技術者等との連携はもとより、あらゆる知恵と努力を結集し、国の全責任において一刻も早く事態の収束を図ること。

  • 福島原発事故による健康被害から県民を守るため、国の責任により、放射線量の測定や放射性物質の除去など必要な措置を講ずること。

  • 原子力損害賠償紛争審査会の「中間指針」に明示された損害はもとより、今回の原発事故と相当因果関係が認められる損害については全て賠償の対象とし、賠償金全額を早急に支払わせること。特に、風評被害による農畜水産物の価格下落や買い控えによる損害、ホテル・旅館、土産物店、ゴルフ場などにおける売上げ減少等について、幅広く賠償の対象とすること。

  • 原子力事故被害に係る緊急措置法に基づく仮払いについては、全ての賠償請求について直ちに支払を行うこと。

  • 農畜水産業や観光産業等における風評被害の拡大の防止と、イメージの回復を図るため、国内外に、放射線量等に関する正確な情報を発信するとともに、諸外国の輸入規制等の措置をなくすよう、国が責任をもって当該国へ働きかけること。

  • ホテルや旅館、海水浴場などの利用客が想定以上に急減していることから、国においても被災地に向けての観光キャンペーンや各種イベントの実施など、国内外からの観光客の誘致などについて積極的に取り組むこと。

  • 国においては、原子力防災対策の再検証や原子力施設ごとの災害想定、EPZ等の見直しを行い、原子力防災指針を速やかに改定すること。

  • 原発事故による影響を払拭していくためには、息の長い取組が必要であり、賠償金とは別に使途の自由な交付金制度を創設する等、県や市町村に対し十分な財政支援を行うこと。

片山総務相に対しての要望事項
  • 使い勝手のよい自由度の高い交付金の創設。補助率のかさ上げや補助対象の拡大など、地域の実情にあわせ被災自治体が提案する事業を幅広く採択すること。

  • 復興基金設置への支援。現行の財政支援制度では対応しきれない事業を実施するための復興基金については、現下の低金利環境に鑑み、運用型基金ではなく取崩し型基金となるよう、必要な財政支援措置を講ずること。

  • 東日本大震災からの復旧・復興に関する財政支援措置については、東北三県及び三県内市町村と同様の措置を講ずること。

  • 被災公共施設等について、災害復旧事業の国庫補助率のかさ上げ及び対象範囲の拡大・拡充を図ること。特に、港湾については、災害復旧の支援対象を荷役機械・上屋からふ頭用地まで拡大するとともに、第3セクターが整備した荷役機械等を含む港湾機能施設の復旧についても、国が十分な支援を行うこと。

  • 経営基盤が脆弱な地方鉄道の災害復旧費について国庫補助率の最大限引上げや補助対象範囲の拡大(バス代行経費等)、交付税措置の充実など、国の支援制度の拡充・強化を図ること。

  • 災害復旧事業債については、対象事業の範囲拡大及び適用要件の緩和などを行うとともに、単独災害復旧事業債の元利償還金に対する交付税措置を補助災害復旧事業債並みに引き上げること。

  • 企業立地促進法に基づく地方税の課税免除等に対する地方交付税措置については、被災した全ての地方公共団体を対象とすること。

  • 放射線モニタリング調査や農作物等の安全確認に要する業務などが大幅に増えており、検体採取や検査にかかる直接的経費だけでなく、それに携わる担当職員の時間外手当などが膨大になっているため、当面の対策にかかる財政需要については特別交付税で措置すること。

  • 原発事故による影響を払拭していくためには、息の長い取組が必要であり、賠償金とは別に使途の自由な交付金制度を創設する等、県や市町村に対し十分な財政支援を行うこと。

  • 震災被害や原発事故の影響により、被災地では多くの税目で地方税の大幅な減収が見込まれるため、現行の減収補填制度のままでは復興事業の推進も含め財政運営が立ち行かなくなるおそれがある。このため、減収補填債の対象税目を法人関係税だけでなく地方消費税や不動産取得税などにも拡大し、さらに特別の財政措置を講じるなど、被災地方公共団体に対する減収補填措置の充実を図ること。

  • 民間通信事業者が行う電源強化対策や移動基地局の増強等の災害対策の取組を積極的に進めること。特に、携帯電話は、非常時における重要な情報伝達手段であることから、災害時にも安定した通話ができるよう、多数のアクセスに対応できる周波数帯域を確保すること。