もんじゅ廃止、公明党が方針 幹事長代行が明言
朝日新聞(2011/8/25)
公明党の斉藤鉄夫幹事長代行は24日、日本記者クラブで講演し、近くまとめる党独自のエネルギー政策に、高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の廃止を盛り込む方針を明らかにした。使用済み核燃料の再処理についても「基礎的研究は続けるが、商業的なものは見直す意見が党内で大勢だ」と述べた。
斉藤氏は「高速増殖炉、再処理といった核燃料サイクルは見直す方向性だ。『もんじゅ』という個別の研究炉は廃止する」と明言した。核燃料サイクルの見直しが進めば、再処理の必要がなくなることから「使用済み核燃料は(再処理することなく)処分する。そのための技術開発に力を入れた方がいい」と述べた。
斉藤氏は「自民党との(連立の)10年間に過渡的エネルギーとして抑制的に(原子力を)使うという精神を少しずつ忘れていった」と強調。公明党が原子力発電を「過渡的エネルギー」と位置づけながら、連立政権下で容認姿勢を取ってきたことを自省した。

参考写真 8月24日、公明党の斉藤鉄夫幹事長代行は、日本記者クラブで公明党のエネルギー政策に関して講演し、再生可能エネルギーの導入促進を図るべきだと主張しました。
 斉藤幹事長代行は、公明党のエネルギー政策について「段階的に原子力への依存を減らす方向で一致している」と強調。一方で、電力の安定供給と二酸化炭素排出量の削減も同時に進めていく必要性に言及。原発に依存しない社会の実現について「カギは再生可能エネルギーの導入と、エネルギー効率を向上させること」と力説しました。その上で、公明党が2010年参院選マニフェストの「重要課題」に掲げた、「30年に電力の30%を自然エネルギーでまかなう」との公約の実現に全力で取り組む意向を示しました。
 さらに斉藤幹事長代行は、政府が、原発を規制する組織を環境省の外局に設置する方針を示していることに疑問を呈し「(政府からの)高い独立性を持つ3条機関として『原子力規制委員会』を設置して規制する計画にすべき」との考えを表明しました。
 また、再生可能エネルギーに関する技術開発やエネルギー需給に関係なく、原発新設の可能性を完全に排除するかについては、さらなる議論が必要だとの考えを示したほか、使用済み核燃料を処理して、再び燃料として利用する核燃料サイクルについては「『基礎的研究は続けても、商業的に行う再処理は見直す』という議論が党の大勢だ」と説明し、高速増殖原型炉「もんじゅ」の廃止を示唆しました。
 電力政策については、特定の事業者が地域を独占し、発電から送電までのすべてを担う垂直統合型の体制を「当然見直していかなければならない」とも語りました。
 井手よしひろ県議は、斉藤幹事長代行の「段階的に原子力への依存を減らす方向で一致している」との発言は、今後、具体的に原子力発電所を削減していくことを意味していると理解しています。そして、原発の稼働年数やそのリスクを詳細に検討して、原発依存軽減へのタイムテーブルを出来るだけ早く明示すべきと、党内で主張しています。
(写真は、高速増殖原型炉「もんじゅ」)