参考写真 9月16日、県議会の代表質問が行われ、公明党の高崎進県議(水戸市・城里町選出)が登壇しました。高崎県議は、震災・津波・原子力災害への体制強化、震災復興基金の創設、自信がもてる農林水産業の取り組み、文化芸術の振興、茨城空港の就航対策、女性の更なる社会への参画推進と人材育成、点字図書館の整備、学校耐震化の取り組み、教育現場での放射線防護体制、警察施設の耐震化、停電時対応信号の増設、県警ヘリコプターの新規更新などについて、橋本知事、教育長、県警本部長に質しました。
東海第2原発運転再開は、県民の不安払拭が第一の条件
 東海第2発電所の運転再開について、高崎県議は、「運転再開は、県民の不安払拭が第一の条件。具体的には、現在の定期点検で発電機のタービンにも破損が見られたことに対し、その改修や故障原因の把握には慎重を期すこと。東京電力福島第1発電所の原発事故が収束し、安定停止していること。15メートル級の津波に対する万全な対策。さらに、緊急時計画区域(EPZ)の抜本的な見直しが完了し、20キロ圏への原子力災害情報伝達の整備や避難誘導などの対策が図られていることが大前提」であると強調し、知事の考えを質問しました。
 橋本知事は、原電が原発周辺市町村で実施した住民説明会で、高さ15メートル以上の津波の想定や、運転開始から32年経過している東海第2原発の廃炉を求める意見が出たことに触れ、「これらの声にしっかり応えていくことができるかが課題となってくる」と述べ、再稼働には慎重な姿勢を示しました。
震災復興基金の大幅積み増しを
 また、高崎県議は「震災復興基金」の充実について提案。公明党が求めていた震災復興基金17億円が予算化されたことに対し評価するとともに、過去に阪神・淡路大震災に見舞われた兵庫県では、9,000億円の震災復興基金が立ち上り、被災者生活再建支援制度では対象外であった被災者の救済と自立支援が大きく前進した事例を紹介しました。その上で、茨城県でも、「(震災復興基金を活用し)一部損壊の住宅や民地のよう壁、土留めなどの修復、さらに液状化対策など、困っている多くの被災者、さらに、中小・零細企業や農林水産業者に対し、少しでも希望が持てるような幅広い支援をすることが必要ではないか」と主張しました。
 知事は、震災復興基金で、国の支援の対象になっていない一部が壊れた住宅などの被害に対しての補助や医療施設や農業用施設の復旧費用などにあてることを検討していく考えを明らかにしました。また、今議会に提案された17億円では十分な支援が行えないとして国に必要な財政支援措置を求めたいという考えを合わせて示しました。
津波浸水想定区域図の早期全面見直しが必要
 さらに、高崎県議は、県の津波浸水想定区域図について、「今日では地震履歴の研究で巨大津波を予見できる時代です。県においても、歴史の教訓を踏まえ海岸部の詳細調査を独自に行うなど、津波浸水想定区域図の想定そのものを見直す必要があると考えます」と知事に対して提案しました。
 橋本知事は、専門家らによる委員会を新たに設置し、津波浸水想定区域図の見直しを早期に検討する方針を示しました。県の津波浸水想定区域図は、2007年度に県が新たに策定しました。茨城沿岸が過去最大の津波被害を受けたとされる延宝房総沖地震(1677年)の規模を想定したものです。見直し内容は、東日本大震災で鹿嶋市や大洗町など想定を上回る地域があったのに加えて、政府の中央防災会議専門調査会が6月の中間報告で、被害想定をする地震や津波の規模を1000年に1度の最大クラスまで広げることを盛り込んだことを考慮して行います。県は新たに設ける委員会で、古文書の分析や地層の津波堆積物調査結果、最新の科学研究を踏まえ、最大クラスの津波を検討することになります。検討の基礎となる東日本大震災での「浸水実績図」を沿岸市町村と作成中で、9月末には完成させる予定です。