がん対策推進基本計画に「がん登録制度」の明確に位置づけよ
参考写真 県民の2人に1人が、がんになる時代になりました。対策の遅れから、日本は「がん後進国」と指摘されてきました。その汚名を返上すべく、がん先進国をめざして、2007年度から11年度末までの5年間を対象に、公明党のリードで策定されたのが「がん対策推進基本計画」です。
 国のがん対策推進協議会は現在、12年度から実施される次期計画の策定に向け、検討作業を急ピッチで進めています。政府はがん対策協議会の最終報告を受け、年内に素案をまとめ、来年4月には次期計画を決定する方針です。
 基本計画の大きな目的は、がんによる死亡率を20%減らすことにあります。
 そのため現行計画では、がんの早期発見・治療をめざし、肺がん、胃がんなど全ての検診受診率を11年度末までに50%以上とする目標が設定されました。
 がんを予防するには検診受診が大事なことは言うまでもありません。しかし、現状では目標達成は非常に難しいとされいます。
 「受診率50%以上」の旗を降ろすことなく、次期計画でも有効な対策を積極的に打つべきです。
 この期間、乳がんなど女性特有のがんの検診受診率が上昇したことは特筆すべき成果といえます。例えば、国民生活基礎調査(10年)による検診受診率は、肺がんが21.2%と低迷したのに対し、乳がん、子宮がんは、それぞれ31.4%、32%と大きくアップしました。公明党の強力な推進で実現した検診無料クーポンの効果が明確に示されたのです。
 クーポンのこうした有効性を踏まえ、公明党は、がんによる死因の中で、肺がんに次いで2番目に多い胃がん予防検診への無料クーポン実施を政府に重ねて提案しています。
 また、次期計画では(1)身体的な負担が少ない「放射線療法」、(2)がんの苦痛を和らげる「緩和ケア」、(3)がん治療の基礎データに必要な「がん登録」、(4)家族支援を含めた「小児がん」対策 ―のさらなる推進も焦点になっています。
 このうち、がん患者の治療方法とその結果などを詳しく登録して、がん対策に活用する「がん登録」については、現行計画の重点項目の一つだが、次期計画でも柱の一つになると主張します。基礎データを登録することで、がん治療の地域間格差が解消され、患者は自分に最適な治療をしてくれる医療機関を選ぶことが可能になります。がんへの偏見や個人情報の漏出への懸念から、患者や家族の理解を深めることも重要ですし、医療現場の負担を軽減するシステム作りが肝要です。
 次期計画への議論は大詰めを迎えています。政府は患者の側に立った質の高い計画策定に全力を注ぐべきです。
 付言すれば、女性特有のがん対策として導入した乳がん・子宮がんの検診クーポン事業の来年度の予算措置が、未だに見えていません。多くの国民の声から導入された子宮頸がんのワクチン接種事業も継続させる必要があります。民主党野田政権のがん対策への姿勢が厳しく問われています。