水戸市の避難勧告を伝えるホームページ:クリックすると大きな画面を見られます 9月21日、台風15号の影響により、茨城県内の河川が増水し、水戸市、ひたちなか市、日立市などで「避難勧告」が発令されました。午後10時過ぎ、NHKの台風情報で水戸市の避難勧告がテロップに流されました。すると、間もなく水戸市の公式ホームページは閲覧ができなくなりました。那珂川流域地域に避難勧告というテロップでは、自分が住んでいる場所が対象地域になっているかどうかがわかりません。そもそも、どこに避難すればよいのかわかりません。テレビで避難勧告の情報を知った水戸市民が、一斉にホームページにアクセスしようとしたのは容易に想像できます。そのアクセスが、サーバーの容量を超え閲覧ができなくなったものと思われます。
 現在、同僚の市議会議員を通して、水戸市のホームページの容量や転送できる情報量の実態を調べていただいていますが、非常時に想定される能力を確保出来てなかったことは事実です。
 もう一つ指摘しなければならないのは、ホームページのつくりの問題です。水戸市のホームページでは、避難勧告という住民に最重要な内容が、トップページにたった一行の新着情報として掲示されているだけでした。非常時には、きれいなフラッシュやJAVAで作られたよけいな装飾はいりません。わかりやすくシンプルなつくりが求められます。
 また、ホームページに接続できても、住民が避難するのに十分な情報が掲載されていません。Twitterでは避難区域にあった「ちとせ1丁目の一部、ちとせ2丁目の一部」との表現で、一部とはどこなんだというツイートが流れていました。
 また、戸惑いの声が出たのは、「お近くの市民センター、小学校、中学校に避難してください」との表現です。単身者や引っ越ししてきて間もない住民にとって、避難所がどこにあるのか分からないというものです。さらに、避難所への経路が示されなければ、かえって危険な場所を通って逃げることになる住民も出る可能性がありました。
 マルチメディアという特性を活かせば、地図やイラストで対象地域を明示することは、避難勧告や避難指示の絶対条件と考えますが、水戸市のホームページにはそのような配慮は全くありませんでした。
 このブログでは、水戸市の事例をもとに自治体の危機管理のためのホームページを検証してみました。水戸市のホームページが殊更問題が多いわけではありません。他の自治体も大同小異と言っても過言ではありません。何のためのホームページなのか、誰のためのホームページなのかを、考えながら自治体はその活用を検証すべきです。