低中所得層の負担軽減、公明の福祉社会ビジョン提言を反映
参考写真 10月12日、厚生労働省は高額の医療費が掛かった場合に、患者の自己負担月額を一定範囲内に抑える高額療養費の見直し案を、社会保障審議会医療保険部会に提示しました。年収600万円未満の低中所得層を中心とする負担軽減が目的で、所得に応じて3段階となっている区分を5段階に細分化して、結果的に医療費負担を引き下げることになります。
 この点は、公明党が昨年夏の参院選マニフェストや2010年12月に発表した提言「新しい福祉社会ビジョン」に盛り込んだ改善策に沿った内容となっており、評価できる内容です。
 厚労省は年内に結論を得て、来年の通常国会への法案提出と2015年度までの実施をめざします。
 高額療養費制度は、がん治療など長期で高額になる医療費負担を軽減するため、毎月の患者の自己負担額に上限を設ける仕組みです。現行では、70歳未満の当初3カ月間の医療費の月額負担上限は、給与所得者(夫婦、子ども1人)の場合で、(1)年収790万円以上が月15万円と医療費の1%、(2)210万円以上790万円未満が月8万100円と医療費の1%、(3)210万円未満の住民税非課税世帯が月3万5400円――の3段階となっています。
 これに対して見直し案は、(2)の低中所得層を細分化し、月額上限を、年収600万円以上は8万円、300万円超600万円未満は6万2000円、300万円以下は4万4000円――に引き下げます。また年収790万円以上は15万円、住民税非課税世帯は3万5000円とします。
 いずれの区分についても、4カ月目からはさらに負担上限を引き下げます。月額上限に満たない患者も適用されるよう、年収に応じた年間の負担上限額(25万9000〜99万6000円)も新設することになりました。
 必要な予算額は約3600億円。厚労省は外来患者の窓口負担に100円を上乗せ徴収する「受診時定額負担」で約4100億円を捻出して賄うことにしています。定額負担には、与野党内や医師会にも強い反対論があり、導入できなければ高額療養費制度の見直しも宙に浮く懸念もあります。