参考写真 東日本大震災では、障がい者の避難や状況把握が非常に難しいという状況が露呈しました。
 障がい者を持つ人など“災害弱者”を守るのは「政治の責務」です。10月25日、公明党は首相官邸で野田首相にあてた「災害時における障がい者(児)支援と今後の防災対策に対する提言」を藤村官房長官に手渡しました。
 この提言は10月6日、公明党が16の障がい者団体と意見交換した際、東日本大震災を教訓に災害時の被災障がい者支援に関する要望をまとめたものです。
 今回の大震災では、被災した可能性のある障がい者の氏名などを自治体に問い合わせても、個人情報保護法により安否確認が進まず、孤立状態に置かれた人が多くありました。
 こうした事態を想定し、提言では、安否確認体制の整備や支援体制の強化など、障がい者の側に立った具体策の実行を求めています。
 例えば、総務省の避難者情報システムへの避難者登録については、自己申告のため障がい者は申告しにくく、全容把握ができませんでした。そのため、地方自治体が本人の同意を得なくても避難者情報システムに登録できるよう、早急に運用を改善すべきです。
 また、災害時に障がい者が困ることは、障がいの内容によって違ってきます。聴覚障がい者はニュース報道などからの正確な情報が得にくく、視覚障がい者は道路の亀裂など周囲の状況把握が難しくなります。
 そのため、障がい者に関する防災マニュアルやガイドラインを全ての自治体が作成することが欠かせません。作成の際は障がい当事者が必ず参加できるよう、きめ細かい対応が必要です。
 こうした具体策に加え、提言では(1)災害時に専門スタッフを配置した「福祉避難所」の設置(2)仮設住宅の浴室・トイレなどのバリアフリー化(3)テレビ放送での手話通訳、字幕をはじめとする情報提供対策(4)各種補償に関する相談支援の整備―なども掲げました。
 いずれも障がい者の切なる願いであり、実現を急ぐ必要があります。
 公明提言に対し、障がい者団体からは「いい内容で、ありがたく感激しています。特に安否確認、および支援体制の整備は重要であり、政府も早急に進めてほしい」(「全日本ろうあ連盟」の久松三二常任理事・事務局長)といった声が多く寄せられています。
 日本は災害列島といわれるほど自然災害が多い。公明の提案を受け、政府は一刻も早く対策を講じるべきです。
(写真は、藤村官房長官に要望書を提出する公明党の国会議員団)
【災害時における障がい者(児)支援と今後の防災対策に対する提言】
参考写真
  1. 震災の障がい者の人的被害について障がい者手帳所持者をベースにデータを作成し被害実態を公表する事

  2. 被災直後からの生活実態について「安否の在り方・災害時要援護者制度の有効性、避難所・福祉避難所・医療サービスの在り方等」を検証し今後の防災計画に反映させる事

  3. 仮設住宅のバリアフリー化と寒冷対策について速やかに対策を講ずる事(浴室・トイレ等の改善等)

  4. 情報の提供・相談支援について、早急な対策を。

  5. 就労・雇用のため支援策を講ずる事。

  6. 移動支援(ヘルパー・移送サービス等)についての対策。

  7. 内部障がい者への支援(特殊装具の備蓄、トイレの配慮等)

  8. 福祉施設の復旧について十分な支援の実施(障がい児の利用施設の除染等)

  9. 必要な人が成年後見制度を利用できるよう早急な対策を(現状は受任者不足や手続の煩雑さが壁・親族調査要件緩和等)

  10. グループホームの新設支援・被災したグループホーム・ケアホームの復旧を急ぎ、新設の推進。・町の復興計画の中に、障がいのある人達の住まいが位置づけられるよう自治体への働きかけを行う事。・賃貸物件の場合、再建や改修のための資金的な補助を。

  11. 教育を受ける機会の保障・送迎等財政的支援・相談支援体制整備

  12. 復興について
    ・復興計画策定の際、障がい者当事者団体等を必ず参加させる事
    ・震災前からサービス資源が乏しい地域が多い為、支援の新たなグランドデザインを作り長期的な展望に立つ支援
(写真は、障がい者の団体から要望を伺う公明党の国会議員団)