参考写真 芳香剤などで有名な日用品メーカーのエステーが、家庭用線量計「エアカウンター」を9800円で発売しました。10月20日の発売以来、これまで国産の線量計は10万円以上する中で、その価格破壊が功を奏し、取り扱っているホームセンターなどでは売り切れが続出しています。
 井手よしひろ県議は、10月30日、日立市内のジョイフル山新でやっと2台、購入できました。
 従来の線量計は、ガイガー・ミュラー計数管やシンチレーション検出器という部品を使っています。これに対して、「エアカウンター」は、工業製品に多く使われるシリコンフォトダイオードを使っているために、思い切った価格設定が可能となりました。
 シリコンフォトダイオードは、光があるかないかを見つけることができる半導体のダイオードです。放射の中でガンマ線を捉え、その一定時間内の数を計測します。安価に使用できる特長がありますが、測定に時間が掛かるという欠点もあります。「エアカウンター」の場合は、計測が完了するまでに5分間かかります。
 エアカウンターのデザインは卵形で、これが放射線量計だと分かる方はほとんどいないでしょう。どこで測っても、まわりに緊張感を与えることはありません。
 操作は至極簡単。大型のディスプレーの下にある押しボタンスイッチを入れれば、計測が開始されます。ディスプレーの上部に「計測中」との表示が出ますので、約5分間「計測完了」の表示が出るまで待てば良いだけです。
 その際の注意は、「地面から1メートル離して、ふったりせず、地面に水平の保持すること」です。
 「エアカウンター」は、測定を始めるといきなり高い線量を表示します。少し驚くこともありますが、次第に下がってきて適正な値で安定します。
 測定下限は0.05マイクロシーベルトです。これより低い場合は「0.05未満」と表示されます。
 なお、本体にも誤差はプラス・マイナス20%と明示されています。自宅の庭の線量を測る場合などは、サイコロの5の目のように、東西南北と中心部の5箇所を測って、平均値を出すと良いでしょう。
 エステーは福島県いわき市に工場があり、福島第1原発の事故の後、従業員から「放射能がとても不安だ」という声が上がったことが線量計を作るきっかけだったそうです。12月までに5万個を生産し、原発から150キロ圏内で主に販売するということです。

 30日、購入後早速「エアカウンター」を使用して、近くの日立市の修理公園の線量を測定してみました。借用しているアロコ社のTSC−161(シンチレーション・サーベイモニタ)との測定値の差を検証しました。
 公園の東南側(地上1メートル)では、エアカウンターが0.21μSv/h、TSC−161が0.27μSv/hを示しました。また、東北側では、エアカウンターが0.23μSv/h、TSC−161が0.21μSv/hとなりました。
 計測に5分間掛かることを除けば、コストパフォーマンスは十分な放射線測定器だと評価します。
参考:家庭用放射線測定器“エアカンター”のホームページ(エステー社)