茨城県議会の定数と選挙区割りの問題は、行財政改革の一環として浮上しました。また、市町村合併や県勢発展の南北格差などの影響を受けて、選挙区ごとの定数配分に不整合が拡大するなど、一票の格差が広がるなど、どうしても是正をする必要性にも迫られています。
 井手よしひろ県議は、先の県議選のマニフェストの一つに、県議会定数を1割程度削減し、50人台とすることを提案しました。
 定数の削減と選挙区ごとの格差の是正を図るためには、どのような手順が必要なのか、このブログでは機械的に選挙区と定数を配分する手法をまとめてみました。
県議会の区割りと定数について<その決定方法>
  1. 定数を決める(X)

  2. 人口(Z)を定数で割る(Z/X)=議員一人あたりの人口を求める(A)

  3. 選挙区を決定する(選挙区の人口が議員一人当たりの人口の1/2未満の場合は強制合区となる)

  4. 「選挙区ごとの人口」を「議員一人あたりの人口」で割る:「配当基数」

  5. 「配当基数」の整数部分を各選挙区ごとの定数として配分する

  6. 「配当基数」の小数点以下部分が1未満かつ0.5以上である選挙区に定数1を配分する

  7. 残りの定数を、「配当基数」の小数点以下部分の大きな選挙区からは順に配分する

 まず、全体の定数を決めることが必要です。ここでは現行の65を1割削減して、“58”と仮に定めます。(あくまでも計算方法を説明するための仮定の数値です)
 茨城県の人口2,877,455人を仮定数58で割ると、「議員一人当たりの人口」が49,611人と計算されます。
 各選挙区は公職選挙法で、「都道府県の議会の議員の選挙区は、郡市の区域による」と明記されています。また、第2項では、「前項の区域の人口が当該都道府県の人口を当該都道府県の議会の議員の定数をもつて除して得た数(以下本条中「議員一人当りの人口」という。)の半数に達しないときは、条例で隣接する他の郡市の区域と合せて一選挙区を設けなければならない」と選挙区の「強制合区」を定めています。そこで、議員一人当たりの人口49,611人の2分の1(24,805人)以下の選挙区は、隣接する選挙区と強制合区されることになります。
 合区後の選挙区の人口を、議員一人当たりの人口で割り、「配当基数」を求めます。
 この「配当基数」が、定数の配分では大変重要な数値になります。
 まず、この整数部分が選挙区ごとに定数として配分されます。例えば、水戸市+城里町は人口合計が290,241人ですので、「議員一人当たりの人口」49,611人で割ると、「配当基数」は5.8503となり、その整数部分5が割り当てられます。
 次に、「配当基数」が1以下の選挙区に、一律に定数1を割り当てます。
 さらに、「配当基数」の小数点以下が多い選挙区から順に、残りの定数を割り当てていきます。
 こうして求めた選挙区割りと定数が以下の表のようになりました。
 現行の定数が、市町村合併の結果と現職の定数をもとにつくられたために、定数を58に削減し、機械的に選挙区に定数を配分すると、選挙区ごとにはかなり大幅な定数の増減が起こることになります。牛久市では定数が1増となります。龍ヶ崎市は、僅かに人口が足らず定数は1のままです。反対に、水戸市、日立市、常陸太田市・大子町、石岡市、筑西市、取手市、東茨城郡南部で1議席づつ減となります。
 こうして機械的に計算した選挙区と定数は、一票の格差が最大で2.63倍となりました。(最小は潮来市の30,534人、最大は龍ヶ崎市の80,334人)
 以上は、あくまでも表計算ソフトを使った机上の計算です。反対に言うと一番恣意的な作為を排除した結果ということもできます。
 現実的には、常陸太田市と大子町のような広大な範囲の定数が1でよいのか、牛久市81,684が定数2となり、龍ヶ崎市は僅か1,350人の人口差で1のまま、結果的に定数1の選挙区が増えてしまう、などといった問題点が出てきます。実際は、地位的な要因や歴史的な要因等を加味して、慎重に検討されていくことになります。
参考写真
参考:県議会の定数をシュミレーションしたエクセルデータ