参考写真 農林水産省は、地名を冠した農水産品の販売を後押しするため、地域ブランドの新たな登録制度を2013年度から導入することにしています。現行の「地域団体商標制度」より認定条件を厳しくし、その地域ならではの風味や食感を有する商品を対象とします。来春2012年の通常国会に関連法案を提出し、13年度からの実施をめざしています。
 2006年4月に導入された「地域団体商標制度」は、その地域の有名な特産品なら、中身は他の地域と同じでも、地域ブランドと認めています。これに対し、新制度は地域独自の生産方法や品質管理により、商品の味や品質も他地域と異なることが条件となるのが特徴です。登録されれば、専用のマークが付けられ、ブランド価値の向上が期待できます。
 例えば干し柿の場合、天竜川から立ち上る霧を生かして独特の食感を生み出した「市田柿」(長野県)などが対象となります。牛の場合も、その地域で育てられただけでなく、「松阪牛」(三重県)のように、独自の肥育方法に取り組んでいることが条件となります。夕張メロン(北海道)、魚沼コシヒカリ(新潟県)など計100件以上が対象になるとみられています。
 こうした制度は「地理的表示」と呼ばれ、欧州連合(EU)や中国、韓国、東南アジア諸国などが既に導入しています。EUでは、パルマハム(イタリア・パルマ地方)やカマンベールチーズ(フランス・カマンベール地方)など1000件程度が登録されています。
 制度導入国は各国の登録商品を互いに保護しているため、偽ブランド品の流通を防げるメリットがあります。商品の独自性を国際的にアピールでき、輸出の増加も期待されています。
『新登録制度の対象となりそうな農水産品の例』 
▽夕張メロン(北海道)▽平田赤ねぎ(山形)▽刈屋梨(山形)▽仙台みそ(宮城)▽魚沼コシヒカリ(新潟)▽足柄茶(神奈川)▽三ケ日みかん(静岡)▽市田柿(長野)▽松阪牛(三重)▽伊勢かぶせ茶(三重)▽宇治茶(京都)▽神戸牛(兵庫)▽多伎いちじく(島根)▽関あじ(大分)▽関さば(大分)▽鹿児島黒酢(鹿児島)
農産物のブランド化の先進事例:たっこにんにく(青森県)
参考:農林水産物・地域食品における地域ブランド化の先進的取組事例集