茨城沖、30年以内に9割の確率でM7以上と推計
111125map 11月25日、政府の地震調査研究推進本部(地震本部)は、東日本大震災を受けて、三陸沖から房総沖で起きる恐れがある地震の発生確率を見直した結果を公表しました。
 地震本部は、「地震調査研究の推進について−地震に関する観測、測量、調査及び研究の推進についての総合的かつ基本的な施策−」(平成11年4月23日)を決定し、陸域の浅い地震、あるいは、海溝型地震の発生可能性の長期的な確率評価を行っています。
 これまでに、海域に発生するプレート間地震(海溝型地震)として、宮城県沖地震、南海トラフの地震、三陸沖から房総沖にかけての地震活動、千島海溝沿いの地震活動、日本海東縁部の地震活動、日向灘及び南西諸島海溝周辺の地震活動及び相模トラフ沿いの地震活動の長期評価を行い、公表しています。
 3月11日に発生した東日本大震災は日本国内で観測された最大の地震です。この地震では、三陸沖南部海溝寄り、三陸沖北部から房総沖の海溝寄りの一部で大きなすべり量が観測され、三陸沖中部、宮城県沖、福島県沖、茨城県沖の領域も震源域とされました。この地震について現時点での知見をまとめ、東北地方太平洋沖型の地震として、今回評価しました。
 また、2005年に宮城県沖で地震が発生したことや、最近の調査結果により過去の宮城県沖及び869年貞観地震の新たな知見が得られたことから、「宮城県沖地震の長期評価」の見直しを行い、「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価」に統合し、第二版としてとりまとめました。
 さらに、前回の公表から時間が経過したため、三陸沖から房総沖にかけての地震発生確率等、記述の一部を更新しています。
 これまでの海溝型地震の長期評価手法では、今回の大震災を予測することができませんでした。地震本部では、これまでの評価手法を見直すこととしており、今回の再評価は、暫定的なものであり、新たな評価手法を検討した後、改めて評価し直すとしています。
 茨城県沖に関しては、今後30年以内に9割の確率でマグニチュード7以上の地震が発生すると予測しており、東海第2発電所の再稼働の議論などにも大きな影響を与えるものと思われます。
●東日本大震災型の巨大地震
 今回の見直しでは、東日本大震災を起こした部分の多くはエネルギーを解放したとして、三陸沖から茨城県沖までが連動するような東日本大震災型の地震の再来は、30年以内の発生確率を0%としました。
●三陸沖北部
 プレート間の地震の今後30年以内の発生確率は0.7〜10%、今後50年以内の発生確率は40〜50%と推定しています。また、次の地震の規模は、過去に発生した地震の規模からM8.0前後と推定しました。
 また、プレート内地震の今後10年以内の発生確率は50%程度、今後30年以内の発生確率は90%程度と推定しました。次の地震の規模は、過去に発生した地震の規模からM7.1〜M7.6と推定しています。
●三陸沖北部から房総沖の海溝寄り
 プレート間地震(津波地震)の今後30年以内の発生確率は30%程度、今後50年以内の発生確率は40%程度と推定しました。次の地震も津波地震であることを想定し、その規模は、過去に発生した地震のマグニチュ−ド等を参考にして、M8.6〜9.0と推定しています。
 プレート内の正断層型の地震については、今後30年以内の発生確率は4〜7%、今後50年以内の発生確率は6〜10%と推定しています。その規模は、M8.3前後と推定しました。
●三陸沖北部
 繰り返し発生する地震の今後10以内の発生確率はほぼ0〜0.8%、30年以内は0.7〜10%で、その規模はM8.2前後と推計しました。
 それ以外の地震の今後10年以内の発生確率は50%程度、今後30年以内の発生確率は90%程度と推定しました。地震の規模は、過去に発生した地震の規模からM7.1〜M7.6と推定しています。 
●三陸沖中部
 この領域については、現在知られている資料からは、M7以上の地震は知られていないため、確率の評価は行いませんでした。
●宮城県沖
 宮城県沖のプレート間で繰り返し発生する地震については、東北地方太平洋沖地震の余効変動が観測され続けている現段階では今後もどのように歪が蓄積し、地震がどのような間隔で発生するか不明であるとしました。次の地震の規模は過去に発生した地震の規模から、M7.4〜7.4程度になると予測しました。
 それ以外の地震は、M7.0〜M7.3の規模で、10年以内の発生確率が30%程度、30年以内が60%程度と推計しました。
 これまでの海溝型地震の長期評価手法では、今回の大震災を予測することができませんでした。地震本部では、これまでの評価手法を見直すこととしており、今回の再評価は、暫定的なものであり、新たな評価手法を検討した後、改めて評価し直すとしています。
 茨城県沖に関しては、今後30年以内に9割の確率でマグニチュード7以上の地震が発生すると予測しており、東海第2発電所の再稼働の議論などにも大きな影響を与えるものと思われます。
●三陸沖南部海溝寄り
 三陸沖南部海溝寄りのプレート間で繰り替えし発生する地震については、今後30年以内の地震発生確率はほぼ0%、今後50年以内の発生確率は0.003%〜0.08%と推定しました。次の地震の規模はM7.9程度と推定しています。
 それ以外の地震は、10年以内の発生確率が20%程度、30年以内が50%程度で、M7.2〜M7.6規模と推計しました。
●福島県沖
 福島県沖のプレート間で繰り返し発生する地震は、今後30年以内の発生確率は10%程度、今後50年以内の発生確率は20%程度と推定されるます。地震規模は、M7.4前後と推定されます。
●茨城県沖
 茨城県沖のプレート間で繰り返し発生する地震の今後20年以内の発生確率は40〜50%、今後30年以内の発生確率は90%程度もしくはそれ以上と推定されます。地震の規模は、過去に発生した地震の規模からM6.7〜M7.2と推定されました。
 それ以外の地震は、今後10年以内の発生確率30%程度、今後30年以内の発生確率は70%程度と推計しています。その規模は、M6.9〜M7.7と推計しました。
●房総沖
 房総沖については、1909年及び1953年の地震によって死者を伴う被害がなかったことから、確率評価は行われていません。
参考:三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価(第二版)について