参考写真 茨城県消防防災課は、今年10月に行った「救急車の利用実態等に係る調査」の結果を公表しました。これは、県内26の消防本部に対して、救急車のタクシー代わりの利用など不適正な利用実態があるかどうかをアンケート調査したもので、今年初めて行いました。
 不適正と思われる救急車の利用について、「明らかに軽症と思われる者の救急車利用」や「タクシー代わりと思われる者の救急車利用」があるかどうかを問う設問では、茨城県内に26ある消防本部のうちおよそ70%に当たる18か所が緊急性の少ない救急車の利用があると答えました。救急車をタクシー代わりに使うようないわゆる不適正な利用については、「頻繁にある」と答えた消防本部は4つ、「年に数件ある」と答えた消防本部が21で、26ある消防本部のほとんどで不適正な利用があると回答しました。
 明らかに軽症と思われる者の救急車利用では、歩行可能な軽症(例えば:切り傷、指の火傷、打撲、虫さされ、耳に虫が入った、目にゴミが入った、魚の骨が喉にひっかかった、犬猫に噛まれた)などの事例が報告されました。極端な例では、筋肉痛で救急車を呼んだ事例もありました。また、独居者、身寄りがないもの、高齢者など、身近に相談する相手がいない患者さんが119番をすることもあるようです。「乳幼児が泣き止まない」という理由で救急車を要請した母親もおり、家族や地域のコミュニティの断絶が垣間見られる結果となりました。
 一方、タクシー代わりに救急車を要請した理由の中には、「診療予約日・入院日なのに交通手段がない」、「お金がない。無料だから」、「救急車で病院に搬送されれば急患扱いされ、待ち時間なく診療してもらえる」といった、わがままな理由が並んでいます。また「病院に連絡したところ、病院から救急車で来るようにいわれた」という例もあり、病院側のモラルも問われているようです。
 また、不適切な利用者の傾向についての設問では、「独居者、身寄りがない、高齢者」「乳幼児がいる家庭」「精神疾患患者」「他の地域からの移住者」など、ある程度、事情が斟酌できる事例も多いようですが、中には「税金を払っているから利用するのを当たり前だと思っている」「常習的な利用者」なども存在し、問題化しています。
 こうした明らかな軽症及びタクシー的な利用により救急車が出動したために、本来の救急活動に支障が生じた事例の有無を聞いた設問では、26消防本部中18があったと答えており、消防防災課では「急病人である可能性を否定できない以上、要請があれば救急車は派遣せざるを得ない。しかし、実際の出動に影響が出ていることは無視できず、県民の良識に訴えるしかない」と説明していました。

参考写真
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参考:救急車を上手に使いましょう〜救急車 必要なのはどんなとき?〜」を作成したとのことです。(消防庁作成のパンフレット)