12月24日、平成24年度の予算案が閣議決定されたことを受けて、公明党の石井啓一政調会長(茨城県本部代表)が会見を行いました。
 石井政調会長は政府予算案に対して、民主党の主要政策のほとんどが見直し・破棄されたことから「マニフェスト崩壊予算」と指摘。また、新規国債の発行額を抑えるため、基礎年金の国庫負担を2分の1にするための財源を交付国債で対応したことを「粉飾的な手法だ」と厳しく批判しました。
中途半端な成長戦略、新規国債発行は3年連続で税収上回る
  • 本日決定した12年度当初予算案は“国民不在”“理念不在”の「財政健全化取り繕い予算」「マニフェスト崩壊予算」である。
    特に、政権交代後、予算編成わずか3度目にしてマニフェストの象徴であった「八ッ場ダム建設中止」の公約すらも臆面もなく自ら放棄したことは、民主党の「コンクリートから人へ」などの理念は空疎なものであり、政権担当能力、政策立案能力がなかったことを証明した。

  • 日本は、人口減少社会への対応はもちろんであるが、あわせて東日本大震災からの復旧・復興、円高への対応、デフレ経済からの脱却などの課題にも真正面から取り組まなければならない。しかし、予算案を見ても景気回復や経済再生に向けた成長戦略をはじめとする対策なども中途半端であり、国難とも言える日本をどう導こうとしているのか、民主党政権の覚悟がまったく見えてこない。

  • 民主党政権下の予算案は、3年続けて新規国債(いわゆる国の借金)の発行が税収を上回る異常な予算となった。

  • 東日本大震災からの復旧・復興費や復興債を除いた一般会計では、表面上、中期財政フレームに沿った財政健全化の政策的経費71兆円(年金差額分以外68.4兆円)、新規国債約44兆円の歳出の大枠はクリアしている。
    しかし、基礎年金国庫負担2分の1のための財源は、一般会計に計上せず交付国債で対応することとし、普通国債発行額を表面上、抑えている。これは、粉飾的な手法であり、“財政健全化取り繕い予算”と言わざるを得ない。また、交付国債の償還財源は、実際上は将来の消費税増収分となるが、現時点では政府・民主党内の議論も途上で消費税を含む税制の抜本改革の見通しが立っていないにもかかわらず、それを前提に予算計上することは問題ではないか。

  • 民主党は歳出の徹底した見直しで財源を捻出するとしていた公約も含め、マニフェスト崩壊が明白になった。「八ッ場ダム建設中止」に限らず「子ども手当」「高速道路無料化」などマニフェストの一丁目一番地である主要施策のほとんどが見直し・破棄されてしまった。民主党は、国民に謝罪すべきである。

  • 民主党の政策決定のあり方も問題である。特に、八ッ場ダム建設再開の決定に関し、「党側は反対だが、政府の判断に委ねる」とした対応は、議院内閣制における政権与党のあるべき姿とは程遠い、無責任な姿勢だ。一体、日本の政治に誰が責任を持っているのか、極めて危ういものを感じざるを得ない。

  • 先の臨時国会では復興財源として活用されるべき公務員給与削減などの課題も、与党がその努力を放棄し先送りしてしまった。また、児童手当(子どもに関する手当)や農業戸別補償の見直しの課題など民主・自民・公明の3党による公党間の協議への対応も不誠実なままで、自らの都合を優先し予算を計上した。こうした態度は公党間の信頼に関わる問題と言わざるを得ない。

  • 公明党は今後、12年度予算案、さらには税制改正を含む関連法案の中身を十分に精査し、次期通常国会では、国民の安心・安全を守るため、それらの問題点を明らかにしつつ政府・民主党政権に厳しく対峙してまいりたい。