県北地域の拠点病院である日立製作所日立総合病院に、9月10日より、手術支援ロボット「ダヴィンチ」が導入されました。
 ダヴィンチは、内視鏡手術を支援するロボットです。内視鏡手術は、体の切開部分を極小にすることが出来るため、患者の身体的負担を減らすことができます。反面、医師の手では難しい手術となるために、手術を支援するロボットがアメリカのベンチャー企業“イントゥイティブ・サージカル社”の手によって開発されました。日本では、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の日本法人が、厚生労働省に製造販売を申請し、2010年度に承認され、日本でも一般外科や泌尿器科、婦人科などで利用できるようになりました。
参考写真 ダヴィンチは3つのユニットで構成されています。操作部と本体はそれぞれ高さが約1.7m、幅が1m弱。本体には内視鏡のほか、電気メスなど手術器具を体内に入れるアームが3本搭載されています。操作部は、医師が椅子に座り双眼鏡ような3Dビジョンをのぞき込み、両手両足でダビンチを捜査します。モニター部は患部の映像や超音波エコー、心電図の画像などを映し出すほか、プロジェクターなどを装備し拡大映像を投影することも出来ます。
 日立総合病院へのダヴィンチ導入に関しては、地域医療のレベル向上と先進医療機器の導入による医師確保のため、日立市が補助金を3億円予算化しました。その導入の目的を樫村千秋前市長は、次のように説明しました。「日立市にとって魅力ある病院は、多くの人材が集まり、病院の活性化につながるなどの期待がいろいろと考えられます。市といたしましては、このような医師の確保に結び付く支援も大変重要であると考えますので、今後、日立総合病院や県との連携を図りながら、例えば先端的医療機材の導入として、患者への負担を軽減できる内視鏡を使った方法としての、いわゆるダビンチなどの導入について支援することも考えられますので、具体的な対応を検討してまいりたいと考えております」(2010/9/10)
 日立総合病院へのダヴィンチ導入は、国内で31台目、北関東では1台目(北関東以北では2台目)となりました。
 現在、日立総合病院では、このダヴィンチをまずは前立腺癌全摘出の手術で活用します。
 運用の責任者である日立総合病院の副院長・堤雅一医師(泌尿器科主任医長)は、「ロボット支援腹腔鏡下前立腺前摘除術(RALP)は、患者さんの体の負担が少ないばかりでなく、我々が開腹手術では到底見ることが出来なかったところを、強拡大で見ながら手術を出来るため、非常に微細で安全な手術が可能です。また、癌の取り残しを防いだり、前立腺摘除後の様々な機能保持にはとても適した手術です。前立腺癌治療先進国の米国ではすでに80%以上がこの手術に移行していると言われております。ダヴィンチシステムの登場は、ある意味で外科手術の革命であると我々は考えております。今後RALPによって、多くの患者さんが早く元気に回復されていく事を我々は望んでいます」と、ホームページ上で語っています。
 ダヴィンチによる手術は、まだ保険適応されていないことから、患者さんの負担は大きなものがあります(前立腺がんの全摘出術で150万円。ただし、日立市民は特例的に130万円となります)。
 ダヴィンチによる前立腺癌治療に関しては、日立総合病院泌尿器科までお問い合わせ下さい。総合案内:0294−23−1111
参考:井手県議、東京医科大学で手術支援ロボット“ダヴィンチ”について現地調査
参考:公明党県議団、手術支援ロボット“ダヴィンチ”を体験