2月20日、井手よしひろ県議は恒例となっている朝の議会報告を、JR常陸多賀駅前で行い、民主党野田政権が閣議決定した「社会保障と税の一体改革の大綱」についての見解を述べました。
参考写真 社会保障と税の一体改革をめぐる民主党政権の対応は、あまりにも「不誠実」です。私ども公明党は、「野田首相は与野党協議を呼び掛ける前に社会保障の全体像を示し、協議の環境を整えるべきである」と、強く主張してきました。
 しかし、17日、政府は社会保障と税の一体改革の「大綱」を閣議決定。内容は政府・与党が今年1月に決めた「素案」と基本的に同じで、現行5%の消費税率を2014年4月から8%、15年10月から10%に引き上げるのが柱となっています。増税だけは明確に書かれていますが、肝心要の社会保障をどうするのかは見えてこない内容です。
 これでは「消費増税大綱」に他なりません。『一体改革』の名には全く値しない内容です。
 特に、「新しい年金制度の創設」を掲げながら、具体的な制度設計も示さずに「来年の国会に法案を提出する」とだけ書いているのを見過ごすわけにはいきません。
 「一体改革」に盛り込むのであれば、新しい年金制度も含めて一緒に議論するのが筋であり、それなくして国民に新たな税負担を求めることはできないからです。
 民主党が迷走を重ねた末に公表した新年金制度の財政試算では、新制度の目玉である最低保障年金を実現するために、消費税率を今回の10%への引き上げとは別に、将来的に最大7.1%も引き上げなければならないことが明らかになっています。どう考えても現実的ではありません。
 そればかりではありません。働く者の代表として労働組合の皆さんの多くが応援した民主党政権であったはずなのに、サラリーマンの平均的年収に近い420万円以上の方は、民主党の年金案では、現状の制度より年金が減額されてしまいます。皆さんは応援した政党に裏切られたと、思いませんか?
 政府・民主党は新年金制度が“絵に描いた餅”だったと素直に認め、大綱から削除し、国民に謝罪すべきです。 また、大綱に「衆議院議員定数を80削減する法案等を早期に国会に提出し、成立を図る」と書かれていることも、見逃せない問題です。
 衆院の議員定数削減は選挙制度改革、1票の格差是正とともに、同時決着をめざして各党で議論している最中です。それなのに、来月の国会提出に向けて法案化を進める大綱にそのまま載せるというのは「極めて不誠実」と言わざるを得ません。
 以前から指摘しているように、こうした政府・民主党の対応が自ら与野党協議の環境を壊しているのです。
 首相は相変わらず「不退転の決意で、この『社会保障と税の一体改革』をやり遂げる」と繰り返していますが、与野党協議を始めるためには、まず政府・民主党が不誠実な対応を改めなければなりません。