参考写真 東日本大震災の津波で大きな被害を受けた北茨城市の海岸部に、防災行政無線の街頭スピーカーの設置が完了しました。東日本大震災から丸1年の3月11日から運用されることになりました。
 津波で5人が死亡1人が行方不明となった北茨城市では当時、避難を呼びかける「半鐘」や広報車を使う計画でした。北茨城市は、2006年度から2年計画で、津波警報を知らせる半鐘22基を海岸沿いの高台に新設しました。ハイテク機器を使う警報伝達システムの場合、市の試算では1億5000万円もかかるため、かつて火事を知らせるため使われた半鐘に着目し、設置予算は1768万円で済むために導入したといわれます。
 しかし、実際には消防団の集合が間に合わなかったり、他の任務のために半鐘での避難の呼びかけはほとんど出来ませんでした。さらに、半鐘が設置されている場所も海岸に近く、津波の日が懸念される場所であり、半鐘による避難呼びかけは実態として難しかったとの指摘もありました。津波の想定を過小に見積もったための、行政の失策と市民から強く批判されていました。
 このような状況からより迅速な呼びかけが必要だとして、北茨城市の豊田稔市長は、一早く防災行政無線の導入を決断。市内49か所にスピーカーを設置することにしました。今月から沿岸部の15か所にスピーカーを設置する工事が始まり、2月21日には、海沿いにある消防本部の屋上に高さ4メートルの支柱を立てて、住宅街や海沿いの道路に向けて3つのスピーカーが取り付る工事が行われました。
 災害時には市役所などの親機から職員が避難などを呼びかけ、市内各地のスピーカーを通じて放送されます。
 北茨城市は3月11日に行う防災訓練に合わせて沿岸部に先行して設置したスピーカーの本格的な運用を始めることにしています。
 なお、県議会公明党、北茨城市議会公明党では、一層の津波防災体制を構築するため、防災行政無線の戸別受信機を、海岸部の市民に配布するよう、議会質問などで提案しています。
参考:防災行政無線と戸別受信機の整備を