Q:民主党の年金抜本改革は進んだか
A:政権交代から2年半。今も「絵に描いた餅」
参考写真 民主党は、消費税を財源にした「最低保障年金」を創設し、国民、厚生などの年金制度を一元化するという「抜本改革」を2003年から訴え続けています。
 ところが提唱から8年、政権交代から2年半もたつのに、改革は一向に進んでいません。野田政権が閣議決定した社会保障と税の一体改革大綱の中で、抜本改革について明らかにされたのは、保険料「15%」、最低保障年金の月額「7万円」という二つの数字だけ。生涯の平均年収いくらで最低保障年金がもらえるのか、肝心な点がはっきりしません。
 年金一元化についても、自営業者の所得を正確に把握できなければ不可能です。野田政権は抜本改革を実現するための法案を2013年の国会に提出すると明言していますが、8年かかってできなかったことが、あと1年でできるのでしょうか。制度の根幹が不明確なままでは、いつまでも「絵に描いた餅」に過ぎません。
Q:現行制度批判はどこへ
A:「破綻する」と騒いだことを大ウソと認めた
 思い出してください。自公政権が年金改革を断行した2004年、民主党は徹底的に現行制度を批判しました。野田佳彦首相も「年金改革は明らかに破綻している」(2004年8月4日衆院財務金融委)と国民の不安感をあおっていました。
 ところが2008年に政府の社会保障国民会議によって、現行制度が安定していることが立証されると、民主党は方向転換。政権交代後は、「ミスター年金」と呼ばれた、当時の厚生労働相ですら、「年金制度は破綻していないし、破綻しません」とテレビなどで宣言する始末です。「破綻する」という批判は大ウソだったと認めたのです。
 それが証拠に政府の一体改革大綱では、公明党が主張してきた受給資格期間の短縮や、低所得者への年金加算などを取り入れ、現行制度の維持・強化を打ち出しています。その一方で荒唐無稽な「抜本改革案」も一緒に掲げているのは、明らかに矛盾しています。

Q:「消えた年金問題」は
A:「2年で解決」の約束守れず、年金通帳も断念
 旧社会保険庁のずさんな事務処理が原因で起こった「消えた年金問題」。民主党は5000万件を超す未統合記録の照合について、政権交代すれば「『国家プロジェクト』と位置付け、2年間、集中的に取り組む」と大見えを切っていました。
 ところが厚生労働省のまとめによると、昨年12月時点で3500万件もの年金記録が未統合のままです。しかも国民への経過説明は全くなされておらず、無責任と言わざるを得ません。
 このほかにも民主党は、加入者が年金記録をいつでも確認できる「年金通帳」の交付も訴えていましたが断念し、インターネットでの導入でお茶を濁しています。さらに、税金と年金保険料を一体で徴収するための「歳入庁」の創設も進んでいません。
 民主党の「年金マニフェスト」は、もはや総崩れです。