参考写真 3月5日に行う県議会代表質問で、井手よしひろ県議は、東日本大震災にかかわる国や県の危機管理について橋本県知事に提言、質問をする予定です。その中で、県の防災ヘリコプターや県警航空隊のヘリコプターが担った役割を総括してみたいと思います。
 昨年3月11日、東日本大震災の発生後、午後4時過ぎには、茨城県の防災ヘリコプター「つくば」から動画による災害情報が災対本部に配信され始めました。平潟、大津港の津波被害の状況や六角堂が消失していること、茨城港日立港区の輸出用車両の被災状況が、ヘリテレの画像から確認することが出来ました。鹿行大橋が崩落し、通過していた車両が北浦に転落した現場では、画像に注目していた災害対策本部の職員から一斉にため息が漏れました。翌12日、日の出とともの出動した防災へりは、常陸那珂火力発電所の煙突に取り残された作業員の様子を、克明に映し出しました。被災地の情報確認に、県の防災ヘリの役割は大きかったと評価します。
 そもそも、この防災ヘリは阪神淡路大震災をきっかけに、平成7年に導入されました。その後、ヘリコプターから動画を高解像度で撮影し、地上の災対本部などに送信できるシステム(ヘリテレ)が整備されました。その後、平成22年秋には老朽化を理由に新型機に更新され、今回の大震災では大いに活躍することができました。
 一方、残念ながら県警が所有する2台のヘリコプターは、同時に定期点検を行っており出動できませんでした。近県の県警本部から応援をいただき対応しましたが、その情報は災対本部に届けられることはありませんでした。
 県警では、平成6年に「紫峰」、平成11年に「ひばり」の2機のヘリコプターを所有しています。
 警察用のヘリコプターは、容疑車両の追跡などの犯罪捜査や警備・警衛のほか、大規模災害時の警察活動に威力を発揮しています。しかし、「紫峰」は導入から17年が経過しており、機体の高齢化による亀裂や機器の不備が続いていました。また、搭載されたヘリテレはすでに製造が中止されており、機器が故障した場合の修理が困難となっています。
 こうした機体の老朽化が、結果的に東日本大震災の際に、2機とも点検に入り出動できなかったという大失態を演じた要因です。
 すでに、県議会公明党は2年前から「紫峰」の更新を行うよう、予算措置を強く求めています。
参考写真 茨城県では、平成21年度と22年度の2年間を掛け、防災ヘリコプターを新型機に更新しました。
 新規の防災ヘリ更新のための事業費は、9億9,949万円。財源は、国から交付された原子力安全等推進基金を活用しました。
 2代目の「つくば」は、川崎重工業製のBK117C−2型機。タービンエンジンを2基搭載した機体です。BK117C−2は、川崎重工業と西ドイツのメッサーシュミット・ベルコウ・ブロウム(MBB)社(現ユーロコプター・ドイツ社)が共同で開発・製造した民間用ヘリコプターです。消防や救急用の様々な拡張装備が用意されており、日本でも多くの自治体が採用しています。装備品として、災害時の情報収集、救急や救助、火災防御といった活動を的確に行うためのヘリテレビシステム、救助用ウインチ、隊員降下装置などを装備します。
 室内空間が広がり救急搬送時の処置スペースが十分に確保されたほか、より高度でのホバリング(空中停止)が可能となり、高所での救助活動の幅が広がりました新機種は室内の長さが2.94mから3.62mに広がるなど、十分なスペースを確保。性能面でもホバリングが“初代”機種が1067mが限度だったのに対し、“2代目”機種は約2.2倍の2300mにアップしました。航続距離も550kmから675kmに伸び、有効搭載重量は1555kgから1680kmに上がりました。
 なお、2代目「つくば」の機体番号(航空機登録記号)は、「JA298R」。JAは日本、298は語呂合わせで「ツ・ク・バ」、Rは「RESCUE:レスキュー」の頭文字です。