参考写真 東日本大震災で発生した岩手、宮城両県沿岸部の災害廃棄物(震災がれき)について、全国の自治体で受け入れる広域処理の動きが広がりつつあります。(福島県のがれきは国の責任で福島県内で処理されます)。3月末日現在で、議会としてがれきの受け入れに関する決議を行ったのは13府県、4政令市、48市町村に上っています。
 一方、国は3月16日、野田総理大臣名で都道府県と政令指定都市について、震災がれきの受け入れを改めて求める文書を送りました。回答期限の4月6日までに、震災がれきを受け入れる方針と答えたのは、北海道と京都府、栃木県、愛知県、三重県の5つの道府県と千葉市、新潟市の2つの政令市にとどまっています。
 東日本大震災によって岩手、宮城、福島の3県で発生したがれきは、環境省の推計で2246万トン。その量は、宮城県が通常の約19年分と最も多く、被災地の復興に向けて、がれきの早急な処理が求められています。しかし、これまでに処理された量は全体の約8%程度にすぎないのが実情です。
 公明党は昨年11月、民主党政権下で遅々として進まない、がれき処理問題について、「被災がれき広域処理推進チーム」を設置。国によるがれき処理費用の実質的な全額負担を主張し、これが実現されました。また一方で、党の地方議員によるネットワークを通じて、できるだけ多くの自治体ががれきを受け入れられるように取り組み、膨大ながれきの処理へ、全国の自治体による広域処理を後押ししてきました。
 現在、すでに処理が行われているのは青森、山形、東京の3都県。中でも東京都は、岩手、宮城両県からのがれきを、3年間で50万トン受け入れる予定です。
 また、埼玉県、秋田県大仙市では、3月末から岩手県の災害廃棄物(木材チップ)の試験処理が行われ、本格処理に向けた準備が進んでいます。
 井手よしひろ県議ら茨城県議会では、先月22日の議会最終日に、震災がれき処理の受け入れを求める決議を、公明党を始め、いばらき自民党、民主党、自民県政クラブの4会派の共同提案で提出し、可決しました。これを受けて、橋本昌県知事は、4月6日の定例記者会見で「茨城県も被災県であり、発生した膨大な災害廃棄物の処理に追われているところであるが、同じ日本人として、被災地の復旧・復興を支援していきたい。そうした上で、県内災害廃棄物の処理に目処がつき次第、広域処理を受けられるよう前向きに検討を行っているところであります。受け入れが可能な災害廃棄物の種類や量、時期などの具体的な受け入れ条件については、今後、市町村及び民間廃棄物処理業者等との意見交換を踏まえて調整していく」と、受け入れに前向きな姿勢を表明しました。
住民の不安解消へ、国は説明責任果たせ
 こうした自治体が増える中、さらなる広域処理を進めるために、解決しなくてはならない課題は、住民の放射性物質への不安や風評被害への懸念の解消とともに、焼却灰などを埋め立てる最終処分場の確保などの問題です。
 これに対して公明党は、国に、(1)安全性について直接の説明責任を果たす(2)受け入れ自治体を財政的に支援する(3)焼却灰の最終処分に責任を持つ―必要性を強調しています。さらに、盛り土や燃料・原材料などとして、がれきを再利用する技術的な取り組みについて、国が本腰を入れるよう訴えています。