懸念される国内農業への打撃。国民に必要な情報を提供すべき

TPP(環太平洋連携協定)問題とは。
西 博義・政調会長代理 現在、米国、豪州など参加表明9カ国で協定の中身を詰める交渉が行われています。2010年に菅直人前首相が突然、TPP参加の意向を表明してから、その是非をめぐって大きな論争となっています。
 協定の内容は、「モノ」については原則、全品目で関税を撤廃するという“高いレベル”での市場開放をめざしています。「サービス」「ヒト」の流れも自由化し、経済的な国境をなくすことをめざしています。

日本が参加するメリット(利点)とデメリット(欠点)は。
西政調会長代理 政府はメリットについて「アジア太平洋の成長を取り込める」「実質GDP(国内総生産)は10年間で2.4兆〜3.2兆円増加する」などと主張しています。しかし、これらは非常にあいまいで説得力に欠けます。
 デメリットで一番大きな問題は農業です。TPPで関税が撤廃されれば、外国の安い農産物が日本に入り、国内の農家が大きな打撃を受けると関係者が懸念を示しています。食品や医薬品などの安全性の審査制度にも大きな影響を与える恐れがあります。医療、金融・保険サービス、知的財産など交渉分野は21に及び、さまざまな問題が懸念されています。
民主党政権はTPP参加に前のめりでは。
西政調会長代理 民主党の姿勢には問題があります。当初から政府部内で検討されないまま、菅前首相の“思いつき”と言ってもよいと思いますが、TPP参加の意向を示しました。野田首相も「しっかり議論する」と言いながら、必要な情報を国民に提供せず、関係9カ国との事前交渉を進めています。「前のめり」という批判は拭えません。

公明党は、どう対応するのか。
西政調会長代理 TPPに関し、現在のところ参加の是非を判断する材料がない状況です。まずは情報を開示するよう政府に強く求めるとともに、しっかり議論して中身を吟味することが重要です。
 公明党はTPPを議論する場として国会に特別委員会を設置することを提言しています。さらに通商交渉に関し、国会が関与する法的な手続きを制定すべきだと考えています。
 日本の行く末に大きな影響を及ぼす選択となり、さまざまな分野で課題が指摘されています。そうした課題に対し、十分な答えが示されていない中で、拙速に参加を決めることは、公明党としては反対です。