参考写真 5月8日、社会保障と税の一体改革関連法案が、衆院本会議で審議入りしました。この日は、基礎年金加算などを盛り込んだ年金機能強化法案と、共済、厚生の両年金を一元化する被用者年金一元化法案の趣旨説明が行われ、公明党から石井啓一政務調査会長が質問に立ちました。石井政調会長は、2法案とも民主党が批判してきた現行制度の改善にすぎないと指摘。「抜本改革とは整合性において説明がつかない」として、民主党に対し新年金制度の創設断念を迫りました。
 石井政調会長は民主党が2009年の衆院選で、4年間は消費税を上げないと公言していたことに言及。野田佳彦首相が「引き上げは衆院議員の任期後で、その前に信を問えば問題ない」と強弁していることに対し、「こじつけ以外の何ものでもない」と批判。多くの有権者はそのように解釈していないと指摘しました。
 また、首相が「政治生命を懸ける」と断言した社会保障と税の一体改革関連法案の審議入りが、3月末の消費増税法案提出から1カ月以上かかったことについて石井政調会長は、「政府・与党の法案成立への覚悟を疑わざるを得ない」と指摘。今国会の会期が残り1カ月半余りとなり、成立しなかった場合の首相の政治的けじめのつけ方をただしたのに対し、首相は「『政治生命を懸ける』とは文字通りの意味であり、解説はしない」と明言を避けました。
参考写真 石井政調会長は消費税増税の前提として、公明党が(1)社会保障の機能強化の具体策(2)景気回復(3)ムダ排除の徹底―など5条件を掲げていることに言及。「一体改革と言いながら社会保障の議論が不十分で、完全に増税先行だ」として、消費税増税を国民に求める前提が整っていないと訴えました。首相は「公明党が前提とする諸課題については、全力で取り組んでいる」と強弁しました。
 また石井政調会長は、民主党が野党時代、現行制度は破綻していると批判していたにもかかわらず、政府提出の年金関連法案は、自公政権時代にすでに提案されていた現行制度の改善が柱となっているとして、「年金制度の抜本改革は、全く具体案のない幻想だった」と糾弾した。
社会保障全体像、景気回復、ムダ排除など、消費増税の前提整わず
 年金機能強化法案について石井政調会長は、受給資格期間の短縮や低所得者への年金加算は、公明党が提案していた改善案だとする一方、短時間労働者の厚生年金拡大対象が、当初よりも縮小したことに触れ、「どの程度拡大できるのか不透明だ」と疑問を呈しました。
 さらに、公務員の共済年金と民間サラリーマンの厚生年金を一元化する被用者年金一元化法案について、2007年に自公政権で提出した内容とほぼ同じだと指摘。当時は民主党の猛反発で審議未了のまま廃案となった経緯に触れ、「民主党が賛成していれば、一元化は10年4月から実施できた」として、官民格差の是正を遅らせた同党の対応を厳しく批判しました。
 一方、石井氏は、民主党の最低保障年金は莫大な財源を要することから実現性は乏しいと訴え、「この期に及んで、なぜマニフェストに固執するのか理解できない。『新しい年金制度の創設』は断念すべきだ」と訴えました。