認定こども園を拡充、財政的支援や二重行政の改善
参考写真 6月15日、社会保障と税の一体改革に関する3党協議が合意に達しました。この事自体は、決められない日本の政治に大きな一石を投ずる出来事です。しかし、テレビ・マスコミの話題が、その三党合意の内容より、民主党の分裂騒ぎに変わってしまったことは非常に残念です。民主党内の内々の混乱、小沢Gが出て行くとかいかないとかということ、国民生活がどのように変わるのか、どちらが重要なのでしょうか? さて、こうした視点から見てみると、野田政権が子育て支援の目玉政策としていた「総合こども園」の創設が撤回されたことの意義は大きいと思います。
 社会保障と税の一体改革関連法案をめぐる民主、自民、公明3党の修正協議で自民、公明両党が強く反対したため、現行の「認定こども園」制度を拡充することで合意に至り、「待機児童の解消」や「質の高い幼児教育・保育の一体的な提供」をめざすことになったからです。
 政府案の背景に待機児童の増加があるのは十分理解できます。保育所が満員で子どもを預けられない親が働くことを諦めるという状況への対応が急がれています。しかし、あえて問題点が多い新たな制度を創設する必要は全くありません。
 まず、政府案の総合こども園には、3歳未満の子どもの受け入れが義務づけられていませんでした。保育所の待機児童の8割以上を3歳未満児が占める中で、効果が乏しく、現実的な待機児童の解消につながるとは思えません。
 また、総合こども園への株式会社の参入を認めることで、安易な事業撤退や利潤追求による人件費の圧迫が起こる可能性が残ることから、教育・保育の「質の低下」が懸念されていまし。
 しかも幼稚園には総合こども園への移行を義務づけておらず、施設類型の多重化が起こり、複雑で分かりにくい欠点があります。市町村に課せられている保育の実施義務をなくすことは、その中でも最大の改悪点でした。
 一方、認定こども園は、幼稚園と保育所の機能一体化をめざし、自公政権時代の2006年秋に公明党の主導でスタートしました。0歳〜就学前の全ての児童を対象に幼児教育と保育を一体的に提供する施設で、利用者から高い評価を得ています。親の就労の有無にかかわらず利用可能で、全国911カ所(4月1日現在)に広がりました。
 ただ、文部科学省と厚生労働省による二重行政や財政支援の不十分さが指摘されていました。このため、今回の合意では、4つのタイプがある認定こども園(幼保連携型、幼稚園型、保育所型、地方裁量型)のうち、幼稚園と保育所とが連携して一体的な運営を行う幼保連携型を拡充することとし、単一の施設として認可・指導監督を一本化するほか、財政支援も決めました。
 さらに、公明党が主張した幼稚園教諭免許と保育士資格の一本化や幼稚園教諭、保育士などの処遇の改善も検討することが盛り込まれました。
 この子育て支援の基盤整備は、大きな3党合意の成果です。
 公明党は、未来を担う子どもの幸福を第一に、子育て支援の充実にさらに取り組んでいく決意です。