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参考写真 7月19日、参議院社会保障と税の一体改革に関する特別委員会は、野田佳彦首相が出席して質疑を行い、公明党の松あきら副代表が質問に立ちました。
 松副代表は「今、なぜ消費増税を決めなければならないのか。これが国民の声だ」と指摘。その上で、一体改革関連法案をめぐり公明党が民主、自民両党と修正協議、合意をしたことについて「増税先行は許さない。何も決められない政治にしないとの思いで決断した」と訴えました。
 また、所得が低い人ほど負担が重くなる消費税の逆進性対策として「国民に分かりやすい軽減税率の導入が最重要課題」と主張。「軽減税率を(消費税率)8%段階から導入して広い層に恩恵が受けられるようにしてほしい。せめて食料品や水は5%に据え置いてもらいたい」と主張しました。
 さらに、消費増税分を商品に価格転嫁しにくいほか、増税分を発注元に請求することが難しい中小企業の苦境に言及。業界団体などで価格転嫁や商品価格の表示方法を申し合わせる「転嫁カルテル(協定)」「表示カルテル」を認める必要性を強調した。岡田克也副総理は「転嫁Gメンを設置して(価格転嫁の状況に)目を光らせるのも重要」と述べました。
 このほか、松副代表は軽減税率の実施では、事業者負担を考慮した「簡素な日本版インボイス(商品の流通過程で仕入れ先が発行する納品書)」の導入とともに、消費税の納税時期や回数の弾力化などを求めました。
 この松副代表の質問について、20日付けの読売新聞が大きく取り上げました。
消費税8%で軽減税率を…公明が導入に本腰
読売新聞(2012/7/20)
 公明党は、消費税率引き上げに伴う低所得者対策として、食料品などの税率を軽くする「軽減税率」の導入に本腰を入れ始めた。
 生活必需品を現行の税率5%に据え置くには、8%引き上げ時から導入すべきだとしている。参院を舞台にした社会保障・税一体改革関連法案を巡る国会論戦は、軽減税率導入の是非が最大の論点となるのは間違いない。
 「国民に分かりやすい軽減税率の導入が最重要課題だ。8%段階から導入し、低所得者を含めた幅広い層が恩恵を受けられるように取り組んでほしい」
 公明党の松あきら副代表は19日の参院社会保障・税一体改革特別委員会で、欧州では食料品や水のほか、新聞・書籍などを対象に軽減税率を採用している国が多い点を指摘し、日本での導入を野田首相に迫った。
 首相は「低所得者対策は重要な課題だ。軽減税率についても様々な観点から検討する」と応じた。
 一体改革関連法案は、2014年4月に8%、15年10月に10%に2段階で引き上げることを定めている。低所得者対策としては、8%引き上げ時に低所得者に現金を支給する「簡素な給付措置」を行うことを盛り込んだ。さらに、時期は定めなかったものの、本格的な低所得者対策として、「軽減税率」と、減税や現金を支給する「給付つき税額控除」の検討を明記した。
 自民、民主両党は軽減税率に慎重だったが、公明党が強く主張して選択肢として入れた経緯がある。


参院一体改革特委の松あきら副代表質疑(要旨)
消費増税、食料や水は据え置け
【3党合意】
松あきら副代表 円高、デフレ、相次ぐ負担増、震災被害を乗り越えられていない今、なぜ消費増税を決めなければならないのか。これが国民の声だ。公明党が、どれだけ重い決断をしたのかお分かりか。(公明党が)反対すれば、社会保障(の充実)が後回しにされる。私たちは、断じて、増税先行は許さない。ツケを後の世代に回さない。何も決められない日本の政治にしないという思いで決断をした。今、一生懸命、決断をした法案を説明して全国を歩いている。首相も、理を尽くして国民に納得してもらえるように説明する義務がある。
参考写真野田首相 社会保障を持続可能なものにするために、現役世代どころか将来世代のポケットに手を突っ込んで賄っている状況を改めなければいけない、ということが今回の一体改革の根幹だ。政府・与党一体となって国民に説明していく。
【軽減税率】
松副代表 消費税の大きな問題は、所得の低い人ほど負担が重くなる逆進性だ。消費増税は、国民が納得することが大前提であり、分かりやすい軽減税率の導入が最重要課題だ。専門家によると、対象品目の線引きについては、EUでも使われている国際基準「HS分類コード」を使えば簡単にできるという。消費税率を二桁の税率にするのであれば、8%の段階から軽減税率を導入して低所得者を含めた幅広い層が恩恵を受けられるように取り組んでもらいたい。せめて食料品や水は(税率5%に)据え置いてもらいたい。
野田首相 低所得者対策は大変重要な課題だ。軽減税率は、外国の事例を検討することも大事な要素だ。
【価格転嫁対策】
松副代表 消費税の増税時に懸念されることは、街の商店などで、買い控えが起きたり、商品の値段に消費税を転嫁することができなかったり、軽減税率が導入される場合の事務手続きが繁雑だということがある。(価格転嫁について)「本体価格」プラス「税額」のように、税額を明確にした方が元請けに請求しやすいとの声もある。これを業界が一致して推し進めた場合の表示カルテル、価格転嫁カルテルの独禁法適用除外が必要だ。また、下請けいじめが横行しないよう、しっかり監視体制を強化すべきだ。
岡田副総理 転嫁状況の検査態勢を強化することを考える。臨時で、転嫁Gメンといったものを設置して(転嫁状況に)目を光らせることも重要だ。
松副代表 インボイス(商品の流通過程で仕入れ先が発行する納品書)を導入しなければ軽減税率はできない。わが党は簡素な日本版インボイスを主張している。消費税の納税時期や回数の弾力化など必要なことをやっていただきたい。
安住財務相 複数税率に移行するならば、インボイス導入を視野に入れなければならない。
【被災地特例の検討】
松副代表 被災地では、消費増税の影響が出ないよう何としても配慮をお願いする。高台移転や集団移転など、住宅再建はこれから本格化する。消費増税が実施される予定の2014年頃が(住宅再建の)ピークと重なるといわれる。3党合意では、消費税の負担が大きい住宅に対しては、税制や財政上の措置が検討事項に入っているが、さらに、被災地に特例的措置をお願いしたい。
野田首相 私も最近、被災3県で仮設住宅に住む人の声も聞いた。3党合意の方針に沿ってきちんと対応していく。