参考写真 7月30日井手よしひろ県議は、県議会農林水産委員会の参考人意見聴取に出席しました。
 農林水産委員会では、「東日本大震災からの復興と茨城ブランドの発信を中心とした農林水産業の再生」をテーマに、参考人の方からご意見を伺いました。
 参考人としてお二人、株式会社リバーティーフーズの鳥山雅庸(とりやま・まさみち)社長と鉾田市産業経済部長の志藤誠(しどう・まこと)氏より、意見聴取しました。
 特にリバティフーズの鳥山社長の「コンビニエンスストアの地域商品開発とその過程でのおせっかい」という演題のお話は、非常に具体的現実的で、茨城の農産物を加工し販売する専門家の立場からのご提言は、大変参考となりました。
 リバティーフーズは、茨城県常総市と福島県郡山市に2つの工場を持ち、セブンイレブンの1200店舗にオリジナルのパンを供給しています。売上額は75億円。セブンイレブンは茨城県内に561(2010年6月末現在)の店舗を展開し、平均の来客人数が1日当たり1000人と言われていますので、毎日56万人が来客する計算になります。鳥山社長は、茨城の特産のサツマイモやメロン、イチゴ、ブルーベリーなどを活用して新たな商品開発に取り組んでいます。
参考写真 その代表例として、「おいも&おいもホイップ」を紹介していただきました。この商品は、茨城県行方産の“紅あずま”を材料として、2009年11月から県内の140店舗からテスト販売が開始されました。最終的にはテスト170店舗で販売され約5万個を売り上げました。その後、2010年1月には茨城・栃木地区で拡大販売され、2週間で30万個以上を売る大ヒットとなりました。さらに、2010年2月から全国1万2000店舗で販売が開始され、250万個の売上を記録しました。結局、「おいも&おいもホイップ」は400万個以上を販売し、原料である茨城産のさつまいもを70トン以上使用しました。この「おいも&おいもホイップ」の製品写真をネット上で発見しました。茨城行方産の紅あずまを材料として使っている事を強調したシールが“輝いて”いました。鳥山社長の茨城産農産物にこだわる愛情を感ずる包装となっています。
参考写真 この成功例をもとに、2011年の冬には「おいものモンブランデニッシュ」が発売され、これもテスト販売、地区拡大販売、全国販売と展開されました。最終的には全国9000店舗で販売され、200万個以上の売上がありました。この際の紅あずまの使用量は27トン以上になりました。この商品の販売にあっては、茨城産の農産物を取り巻く厳しい環境が浮き彫りとなりました。その一つは、茨城行方産を表示するシールが地味なもの統一されたことです。セブンイレブン本社の意向により菓子パン全体のイメージを統一するために、独自のシールが貼れなくなりました。もう一つは、全国展開する際に、茨城産の紅あずまとの表示が出来たのは茨城県と栃木県地区だけでした。千葉県では材料が千葉県産の大栄愛娘に置き換えられ、茨城の3倍も売れてしまいました。関西北陸地区では、石川県産の五郎島金時が使われていました。そして、全国9000店舗では茨城産の紅あずまが使用されたにもかかわらず産地表示ができませんでした。
 こうしたコンビニという小売業の最前線での厳しい現実をうかがう中で、茨城の農産物のブランド化がいかに遅れているかを改めて実感しました。
 茨城の農業政策は、余りにも生産者側の考え方に偏りすぎていたのではないでしょうか?消費者、また消費者に一番近い場所にいる販売・加工に携わる方の意見を重視する必要があります。農業の六次産業化という言葉がよく使われていますが、まず、行政側の発想を180度転換する必要があります。
 鳥山社長は、講演後の質疑応答で「茨城県の強は何か?」との委員の質問に答えて、「近い〜ばらき」と言うことだと断言しました。首都圏の一画という利点を最大限に活かして、消費者のニーズに機敏に対応していくと言うことでしょうか。鳥山社長は、「どんな優れた戦略も連戦・連勝はありえない。プラン→ドゥ→チェック→再プランのサイクルは大丈夫でしょうか?」とも、問いかけました。
(セブンイレブンのパンの写真は、「Poohさんの汗だくグルメ日記in柏」「苺日和」より掲載させていただきました)