処分場の経営安定にレベニュー信託/公明が一貫してリード
参考写真 東日本大震災に伴う宮城県石巻市のがれき受け入れが8月30日、茨城県出資の環境保全事業団が運営する笠間市の公共処分場「エコフロンティアかさま」(以降「かさま」)で始まった。震災がれきの受け入れを提案し、一貫して推進してきた県議会公明党(井手義弘幹事長)は同日、輿水恵一・さいたま市議(次期衆院選予定候補=比例北関東ブロック)と岡本三成・党国際局次長(同)と共に「かさま」を視察。がれき受け入れまでの経緯や、「かさま」の経営安定に「レベニュー信託」を活用した公明党議員の取り組みを追った。(このブログは、9月7日付公明党新聞7面の記事を転載させていただきました)

 この日午後3時半、石巻市から震災がれきを積んだトラック6台が次々に「かさま」に到着。木くずなどの可燃物やコンクリート片の不燃物など合わせて約80トンが運び込まれた。
 県環境保全事業団の職員が、トラックの両脇から空間放射線量を測定し、安全を確認。可燃物は一般ごみとともに処理され、不燃物は最終処分場に埋められた。
 がれきの収集や運搬の流れが軌道に乗れば、県は「かさま」で土日・祝日を除き1日100トン程度を受け入れ、2014年3月末までに可燃物7500トン、不燃物3万トンのがれきを処理する方針だ。空間放射線量などの測定結果は、県廃棄物対策課のホームページなどで公表していく。
 県生活環境部・廃棄物対策課の大川仁課長補佐は、「『被災地の復興になれば』という前向きな意見があり、住民からの反対の声はあまりなかった」と話していた。
参考写真 「かさま」の震災がれき受け入れをめぐっては、7月に周辺住民が石巻市を視察。同20日には、がれきの試験焼却を行い、放射線セシウム濃度が焼却灰は1キロ当たり23ベクレル、煤塵(焼却したときに生ずる微粒子)は2230ベクレルと、国の基準値(8000ベクレル)を大きく下回り、橋本昌知事が「周辺環境に影響がない」と表明。県は8月24日、がれき受け入れの基本協定を宮城県と結んだ。
 茨城県議会の3月議会で公明党は、いばらき自民、民主、自民県政クラブと「震災がれき処理の受け入れを求める決議」を共同提案し、可決。県議会公明党は、被災地の一日も早い復興のため、震災がれき受け入れを一貫してリードしてきた。
 視察後、県議会公明党の高崎進議員は、「受け入れを決議した責任を果たすためにも、安全をしっかりと見守っていきたい」と語っていた。

 「かさま」は05年に開業したが、建設を反対していた住民との話し合いで事業期間が短くなったことや、近年のごみの減量化・リサイクルの促進などで、当初予定していた年間の収益が半減。建設時の借り入れ金の返済が困難な状況になっていた。
 こうした実情を重視した井手幹事長は、10年6月議会の総務企画委員会で民間資金の調達法の一つである「レベニュー信託」の導入を提案。これを受けた県は、当時、外資系銀行の執行役員だった岡本氏に相談。同氏は「かさま」の将来の収益を証券化するなどレベニュー信託の実務を担当した。その結果、約100億円の資金を調達することができ、「かさま」の安定的な経営が実現した。
 岡本氏は「これからも、民間資金を活用した取り組みに全力を挙げ、被災地の復興を後押ししていきたい」と決意を語っていた。
【レベニュー信託】事業の将来の収益を信託し、その受益権を投資家に販売することで、民間から資金を調達する手法。国や地方自治体などの損失補償が解消される利点があり、投資家の監視により事業が厳しく評価され、財政規律が働く仕組みとなっている。茨城県による「かさま」へのレベニュー信託の導入は、国内外の金融機関や専門家から高く評価され、今年7月には「全国知事会主催第5回先進政策バンク」の優秀政策にも選定された。