120911image さい帯血や骨髄といった造血幹細胞の移植の円滑化を推進する法律が、9月6日、衆議員本会議で、全会一致で可決され、成立しました。この法律は、提供者(ドナー)のあっせんや検体の凍結保存などを担う「バンク事業」を許可制とし、安全性や品質の確保のほか、ドナーの健康の保護を求める内容で、造血幹細胞移植事業の運営を安定化させるため、国の財政支援に関する規定も盛り込まれています。
 厚生労働相に対しては、造血幹細胞移植に関する「基本方針」を策定し、公表するよう求めたほか、バンク事業を支援する中核機関を全国1か所に限って指定できるとしました。また、さい帯血の品質の確保に関する基準についても、厚労省の省令で今後定めるとしています。
 現在、骨髄と末梢血幹細胞の患者とドナーのあっせん事業は、骨髄バンクとして、骨髄移植推進財団が一括して運営しています。しかし、さい帯血の凍結保存などについては、全国に8か所ある「さい帯血バンク」が担っていますが、この二つのバンクの法的な位置付けはこれまでありませんでした。
 昨年(2013年)5月、NPO法人「さい帯血国際患者支援の会」理事長の有田美智世さんらは公明党に、さい帯血に関する法整備を訴えました。公明党は、さい帯血移植の保険適用(1998年)、さい帯血バンク設置(99年)実現に向けて、数百万規模の署名を集めるなど中心的な役割を果たしました。
 この要請を受けた公明党は、すぐに山本香苗参院議員を座長とする、さい帯血法整備推進プロジェクトチーム(PT)を設置し、視察や関係者からの意見聴取を重ねました。具体的に法案作成を進める中、山本座長らは「さい帯血も骨髄も造血幹細胞移植を必要とする患者には同じ。別々に法整備するのはいかがなものか」と考え、造血幹細胞移植全体を見据えた法整備を模索し始めました。
 そして、昨年12月の党PTの会合で、さい帯血、骨髄など造血幹細胞移植の関係団体が一堂に会し、「法整備をするなら、さい帯血だけではなく、骨髄移植などを含めた法律が良い」との見解で一致、それ以降、超党派の議員にも呼びかけ、6月には野党4党で造血幹細胞移植を拡大し、同細胞の適切な提供を図るための推進法を国会に提出。衆参両院とも全会一致で可決し、9月6日に成立したものです。
【造血幹細胞】白血球など全ての血液系細胞のもとになる細胞。骨髄やさい帯血(へその緒と胎盤の血液)に多く含まれています。普通の血管(末梢血)には少ないが、薬によって、骨髄から血液に送り出すことで採取できます。